「一晩でブドウを40~50房も…」

「うちは一晩でブドウを40~50房、食べられたことがありました。あんまり被害が大きいので、電気が流れる柵を周辺に設置したんですけど、それでも隙間を見つけてうまくハウスの中に入ってくるんです」

そう話すのは、茨城県坂東市に住む巨峰農家の70代の女性だ。野菜や果物の畑が広がる坂東市でも、市民への箱罠の貸し出しを始めた2011年度には21頭だった捕獲数が、昨年度は745頭捕まり、今年も9月1日時点で412頭と、前年を上回るペースになっている。

現在、希望する市民に200弱の箱罠を常時貸しており、捕まったと連絡が来れば、委託を受けた猟友会の会員が平日に回収して回る。

被害を受けた巨峰農家(撮影/集英社オンライン)
被害を受けた巨峰農家(撮影/集英社オンライン)

その一人であるAさん(74)の回収作業に同行させてもらった。月曜日、定められた午前9時までに市の農業政策課に回収依頼が来たのは4件。「月曜日は土日に罠に入った分も集めるからふつう7件くらいはありますが、今日は少ないほうですね。多いときは15、6件もあります」とAさんは話す。

「アライグマはなんでも食べます。トマト、キュウリ、スイカ、ブドウ、トウモロコシ、メダカ、金魚…。でもネギやキャベツのような野菜はあまり食べないかな。果物が好きですね。

カエルやザリガニも好物で田んぼにも入ってきます。特に収穫直前の熟した作物がよくやられる。おいしい時期をよく知ってるんでしょうけど、その分、農家は痛いでしょうね」(Aさん)