ただ分け方を変えるだけで売上増に
「P&G」のブランド「アリエール」の洗剤『ジェルボール』は、1回分が水溶性の袋に分けられている商品だ。
洗剤を量って入れるという「それくらい、手間ではないのでは?」と思えるようなことをも省いたことで、若い世代に売れている。
「味の素」の『鍋キューブ』は、ひとり分の鍋のスープを固形にすることで、「わざわざビン入りの鍋つゆを買って味の濃さを調整してまでは鍋を作らない」というひとり暮らしのニーズにマッチしてヒットした。
1995年頃発売された「森永乳業」の『クラフト 切れてるチーズ』は、家でチーズを切るという面倒な作業を省くことで大ヒットして、わずか数年間で切れていないチーズより売れるようになった。
商品の「機能」や食べ物の「味」といった本質的な価値を変えなくても、ただ分け方を変えるだけで、「気軽に使いやすい」を実現し、そのことが売上につながっている。
書籍においても、文芸大作は「上下巻」に分かれていることがよくある。確かに分厚い本を1冊買うより、半分の厚みで2冊買うほうが、読者にとっては「持ち運びやすい」。そして何より、出版社にとっては売上を上げることができる。
いくら分厚いとは言え1冊3000円では高くて買ってもらえないが、2冊で3400円、つまり1冊1700円なら「買ってもらいやすい」わけだ。