「“特許網”を張り巡らせて、複数の特許で引っかからせる」
弁理士法人アイピールームの代表弁理士である打越佑介さんは、特許の出願代理や知的財産に関するコンサルティングを行っている。
今回のような裁判は、日本では多いのだろうか。
「米国や中国と比べたら少ないですね。だからこそ、任天堂のような大企業がアクションしたことで話題になったのではないでしょうか」
急成長した新参企業を、大手が訴えるかたちとなった今回のケース。打越さんはこれが業界に与える影響に注目しているという。
「今回の結果は、任天堂以外のゲーム会社にも影響する可能性があります。これからゲームを作るスタートアップも、開発のやり方が変わってくるかもしれません」
パルワールドは1月に発売され、任天堂の提訴は9月。8ヶ月の沈黙は長いように思えるが……。
「一般的にはいえませんが、過去の事例と比較すると早い方だといえます。
たとえば2021年2月24日に『ウマ娘』をリリースしたCyagmes(サイゲームス)に対し、2023年3月31日にコナミが特許権侵害で提訴するまで、約2年が経っています。
また2014年7月14日に『白猫プロジェクト』をリリースしたコロプラに対し、2017年12月22日に任天堂が特許権侵害で提訴するまで、約3年半も後になります」
上記を踏まえて、「この8ヶ月で任天堂は周到に準備をしていたのでは」と打越さんは推測する。
「任天堂は、数年前に出した特許※4の書類の中に書かれている内容の一部を、別の特許として出願して、特許の数を増やしていた経緯が公開情報から分かります。
こうして『親の特許』を分割して『子の特許』を生み、『特許網』を張り巡らせた後に、今回ポケットペアが複数の特許に引っかかっているとして訴えたようです」