知性に興奮? ギフテッドの恋愛・結婚観を聞いてみた
――みなさんどんな方と恋愛するんですか? また結婚願望はありますか?
立花 私は相手の知性に性的・恋愛的な魅力を感じる「サピオセクシュアル」なんですね。だから見た目がどれだけ美しくても会話が娯楽にならない人では恋愛対象にはならないですね。これには困った側面があって、自分みたいなタイプが興味を持つ相手というのはぶっ飛んだ人ばかりになるので、とんでもない恋愛遍歴になるんですね(笑)。
路上パフォーマーとか、40歳年上のデザイナーとか、そんなんばっかですよ(笑)。「この人はどうやってこの世界を見てるんだろう」って、相手を通して新たな世界や価値観に触れるのが好きでした。でも気が付いたんです…それって別に恋愛じゃなくてよくね?って(笑)。
――まあ…そうかもしれませんね(笑)。この中で唯一既婚者の梶塚さんはいかがですか?
梶塚 僕は妻の想像力に惹かれた部分はありました。お風呂のお湯を抜くときに、渦を巻いてお湯が流れるのを見て、「自分の意識がそれに同化してぐるぐる回って流れていく。意識が同調できる」って言ったんですよ。いい感覚してるなあって思って。
立花 そういえば私、結婚してたこと一瞬ありました。
一同 えええええーーーー。バツイチだったんですか⁉
立花 諸事情あって同居はしてなかったんですが、結婚したら自分がどう変わるのかなって好奇心で。
「結婚しよう」って言われて「うん、いいよ」と即答。もともと戸籍制度に疑問を持っていたので、実際に籍を入れて実験してみました。でも生活が伴わない結婚って何の意味もないんだなってわかって気が済んで、1年ぐらいで籍を抜きました。
――斬新すぎる(笑)。
春間 僕は人生をより楽しむために、自分の中に小学生と22歳と33歳の3人を常に置いていて、基本的に3つの価値観で同時に考えています。だから女性の好みも三者三様。子どもみたいな付き合いでもいいし、情熱的な感じでもいいし、ある程度落ち着いた距離感のある関係でもいい。
立花 お得~。
加藤 価値観の切り替えはサングラスって表現してるんですけど。ここでは工学者、別のところでは高齢女性のサングラスをかけるとか。そうすると同じものを見ていても全く見え方が違うし、場面に合わせて「今、楽しむんだったらこれにしよう」って。だからやっぱり自分にない価値観を持っている人はすごく魅力的だなって思います。結婚も体験として興味はあります。
立花 でも籍入れるだけじゃ意味ないからね(笑)。
梶塚 子どもはおもしろいと思いますよ。やっぱり自分と同じような思考を持っている部分もあるけど、自分に対して反発する部分もあるわけじゃないですか。もう一つの分離した何かがあるから。すごく人生が重層化する。世界の見え方がすごくおもしろい。
加藤 子どものときの目線ってすべてを覚えているわけではないので、姪っ子とかがぽろっと言った言葉とかすごくおもしろいなって思いますね。
梶塚 うちの嫁が「自分は子どもを持ったことで2回目の人生を歩んでいる」って言ったんですよ。その感覚はあるんですよね。なおかつそれが微妙にバリエーション変わって歴史観も生まれてくるっていうか。僕にとって子育てはおもしろかった、興味深かったから人に勧めたい。
〈後編へ続く『「ギフテッドは世の役に立たないと生きてはいけないの?」特化する才能を伸ばすことしか考えない、日本の「才能教育」の問題点とは』〉
取材・文/木下未希 撮影/集英社オンライン編集部