飲酒喫煙で代表辞退した選手もいたが…

夢の舞台に立つために、日々、並々ならぬ努力を重ねているアスリートを、事情も知らない外野が叩くべきではないのは言うまでもない。だがなかには、選手が選手のことをネット上で批判していたというケースもある。

パラアーチェリー選手の小野寺朝子が、パリ・パラ五輪にアーチェリー日本代表として出場予定の重定知佳から、匿名で誹謗中傷を受けていたのだ。

2021年1月5日、小野寺のブログに匿名で「いい加減もう東京パラも無理だし代表入りも無理なの気づきませんか? 悪あがきもほどほどにした方がいいですよ」「ルール違反してない? してるから言ってるんですけど。車いすに乗って競技してはいけないのに車いすに乗ってますよ」というコメントが書き込まれた。

そこで小野寺が開示請求をしてみると、なんと書き込んだのが同じパラアーチェリー選手で、小野寺よりも実績のある重定だと判明したのだ。

この投稿が名誉棄損だとして裁判を起こすと、東京地裁は8月6日、小野寺の訴えを認めて、重定に約124万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

とはいえ、重定のパリ・パラ五輪の出場資格がはく奪されるわけではなく、28日から開幕するパラ五輪には変わらず出場予定(その後、23日に正式に代表辞退を発表)。また、重定側は判決を不服として控訴もしている。

敗退して号泣する柔道女子日本代表の阿部詩選手も誹謗中傷の被害にあった。写真/JMPA
敗退して号泣する柔道女子日本代表の阿部詩選手も誹謗中傷の被害にあった。写真/JMPA

スポーツマンシップが理念の大前提となる五輪において、あまりにもモヤモヤするこの事件には〈少なくとも重定選手は代表入り辞退すべきではないかと思う〉〈飲酒喫煙で辞退した選手がいるのに、敗訴した選手が出場はありえない〉〈飲酒喫煙より今どきニュースとして悪質と思います〉〈フワちゃんよりも酷くない?〉といった声がネット上であがっている。ちなみに誹謗中傷を開示してみたら近しい人だった……というケースは五輪だけではとどまらない。

2022年には、プロ野球・西武ライオンズの源田壮亮の妻で、元乃木坂46の衛藤美彩がインスタグラムのダイレクトメッセージで誹謗中傷されて情報開示請求をしたところ、相手がチームメイトの妻だったことがある。