塗り薬で汗を止められる
「まず汗が出る仕組みを説明すると、交感神経が興奮してアセチルコリンという神経伝達物質が分泌され、汗腺の受容体に結合することで、汗となって汗腺、皮膚から放出されます。
水道にたとえると、交感神経が止水栓、受容体が蛇口のハンドル、汗腺が蛇口とイメージしていただくとわかりやすいと思います。それぞれへの治療アプローチがあります」
汗の治療はすべて保険適用でできるという。しっかりとしたエビデンスがあるということだ。まず、ワキガ(腋臭症)の方はどんな治療をするのだろうか。
「剪除法という手術でアポクリン汗腺を取り除きます。汗が出る蛇口そのものを取ってしまうということですね。ワキを裏返して切除するため形成外科で行なうことが一般的です。ただ、ワキガは多汗症と合併することがあるため、多汗症の治療とあわせて行なうことで高い効果を得られます」
それでは多汗症の治療はどんなものがあるだろうか。多汗症については、近年良い塗り薬が出てきたという。
「塗り薬には水道の蛇口のハンドルを閉めるような効果がありますね。エクロックゲル、ラピフォートワイプ、アポファイドローションなどがあり、すべてアセチルコリンや受容体の働きを抑える抗コリン薬で、手やワキに塗ります。夜に薬を塗り、翌日、塗った部位の汗が出にくくなるのです。これは継続して使用する必要があります」
さらに、外用薬だけで治まらず、しっかり効果を得たい場合は、止水栓を止める交感神経へのアプローチがあるという。