一番すごいのは“挑み続けている”ところ
──最高の瞬間ですね。ほかにも、映画のオリジナルキャラクターとしてジュリオ・ガンディーニ、アンナ・シェルビーノが登場しますが、彼らはどのように誕生したのでしょうか。
脚本をもとに先生がデザインしてくださいました。デザインでキャラクター性はすごく変わるので、最終的には先生によるエッセンスも強くなりました。僕は、堀越先生のキャラデザインのスキルは日本でも有数だと思っています。デザインを見るだけで、キャラクター性が伝わってくるのは本当にすごいです。
──おもしろい脚本に先生の意見とデザインが加わり、映画全体がアップグレードしていくという。
ジュリオのメカニカルな部分はもともと脚本の黒田(洋介)さんのアイディアですが、ディテールを詰めていったのは岡村(天斎)監督の趣味ですね。
──キャラデザの話がありましたが、門司さんは『ヒロアカ』の連載開始時から先生を見てきて、どんなところがすごいと思いますか?
いっぱいあるので迷いますが、まずはすさまじい画力ですね。ただ、一番すごいところとなると“挑み続けている”ところでしょうか。
──ぜひ、具体的に教えてください。
『ONE PIECE』をはじめ、ジャンプに載っている他の漫画を超えたい、勝ちたい、という思いをずっと持っているんです。常に一番を目指しています。
──『ヒロアカ』ほどの大ヒット作を作りながら、ですか。
そうなんです。あれだけ作品がヒットしているので、「もう順位とかよりも自分の描きたいことを好きなように描こう」となってもおかしくないですし、別にそれも間違っているとは思いません。ただ、堀越先生は「ジャンプで連載する以上はトップを目指して戦いたい」と言い続けているんですよね。
──『ヒロアカ』の熱さやおもしろさの根源を見た気がします。さて、本作はA組の面々もプロヒーローたちも勢ぞろいの、いわばオールスター作品ですよね。門司さんが気に入っているシーンがあれば教えてください。
今作はヒロアカ史上最大級のアクションだらけで、とにかく見どころだらけだと思っています。なのであえてちょっと細かいところを挙げると、敵<ヴィラン>の“個性”でA組のメンバーが幻覚を見せられるシーンがあるのですが、そのときのとあるキャラの幻覚に注目です。原作を読んでいる人だと、ジーンとするんじゃないかな。
──これはぜひ、劇場で楽しんでほしいところです。
細かい演出にも先生がアイデアを出してくれています。たとえば、芦戸(三奈)がメリーゴーラウンドに乗って「これ動くよー!」というシーンがあって、脚本を読んだときに芦戸らしいなあ、と思ってたんです。でも、脚本をチェックした先生からのコメントに「このシーンの芦戸は笑っていたりせず、真顔のほうがいいです」と。その後、映像になって見たときに、確かに芦戸はこうだ! となりました。
──もう1度観たくなってきました……! 続いて、本作の入場者特典であるスペシャルコミックの内容を簡単に教えてください。
先生描き下ろしのカバーで、前日譚の漫画、キャラクター設定、ラフデザインと盛りだくさんの1冊です。先生への一問一答も収録されていて、担当目線で見てもかなり衝撃的な答えもありました。これは話題になること間違いなしだと思います。