フランスらしい? マリーアントワネットの生首パフォーマンス

ちなみに日本の選手団もかなりの大人数だったが、船の貸し切りまではいかず、他国の選手と同乗。旗手はブレイキン男子の半井重幸選手とフェンシング女子の江村美咲選手が務めたが、NHKのテレビ中継で紹介された時間はわずか数秒だった…。

また、中継映像の中では、フランスの世界的ブランド「ルイ・ヴィトン」も登場したが、NHKではその言葉を放送できないため、アナウンサーが「カバンなどを作る工房のようですね……」と精一杯の説明をする一幕も。

フランスらしい(?)グレーな演出はまだまだある。日本では確実に物議を醸すであろう、キャバレーの“大人なショー”や、首を切り落とされたマリーアントワネットが、メタルロックを歌うというパフォーマンスも敢行。

演奏中にはまるで血しぶきを表現するかのように赤い煙が飛び交っており、〈平和の祭典なのにあんな演出するんだと驚いた〉〈冷静になったらオーストリアに激失礼ではあるな〉〈自由でおしゃれなんじゃなくて悪趣味としか思えない〉〈なんかフランスのこういうとこ本当好きだ〉と賛否を集めることになった。

船の入場でほかにも注目されたのは、紛争中のパレスチナの出場があったこと。わずか8人でありながら選手たちは船頭に立って笑顔で手を振っていた。そのうち、3名がガザ地区の出身だという。

パリ五輪開会式に参加したパレスチナの選手団 (写真/@Palestine_UN State of PalestineのSNSより)
パリ五輪開会式に参加したパレスチナの選手団 (写真/@Palestine_UN State of PalestineのSNSより)

そしてこの大会には、パレスチナからの不参加要請が却下され、大規模な軍事侵攻を行っているイスラエルも参加。パレスチナよりも規模が圧倒的に大きい選手団が、満面の笑顔で船の上から手を振っていた。

その後、クライマックスの方では、炎に包まれるピアノの横で、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの「IMAGINE」が演奏されていたが、こうした経緯もあり、なんとも強いメッセージ性を感じてしまう演出になっていた。

とはいえ、全体としては華やかでオシャレさが際立っていたパリ五輪。フランス国籍のサッカー選手・ジダンを中心に、スペイン国籍のテニス選手・ナダル、アメリカの陸上選手・カール・ルイス、ニューヨーク出身のレディー・ガガやカナダの歌手・セリーヌ・ディオンがパフォーマンスするなど、国の枠にとらわれない世界のスーパースターたちが式を盛り上げているのも印象的だった。

ところで、過去の五輪の開会式ではどんなハプニングなどがあったのだろうか。五輪のうっかりシーンをまとめた書籍『うっかりオリンピック』の著者、こざきゆうさんに話を聞いた。