FIBAランキング26位・日本代表も可能性はゼロではない

幸運なことに、僕は田臥勇太、渡邊雄太、八村塁という3人の日本人NBA選手と日本代表としてともにプレーする機会に恵まれた。その世界がどれほど厳しいのか、彼らを通して垣間見た。そんなNBAの頂点にいるのが、このレブロン・ジェームズと言う男だ。

レブロン・ジェームズのシュート練習の様子。撮影/松井啓十郎
レブロン・ジェームズのシュート練習の様子。撮影/松井啓十郎

もちろん、カーの「世界のチームや選手は進化している」という言葉は、日本にも当てはまる。

日本人選手がNBAのコートでプレーする姿は、もはや日常となった。NCAAディビジョン1でプレーする日本人選手も毎年のように増え続け、日本代表の富永啓生のように身長190センチに満たないながらシューターとして大活躍する選手も出現した。

大学からアメリカに挑戦した富永のみならず、アメリカでのプレー経験のない河村勇輝までもが、先日NBAチームとエグジビット10契約を結ぶことが決まった。

この契約は無保証だが、シーズン開幕前にNBAと下部組織であるGリーグのチームを一定期間行き来できる。本契約までの道のりは険しいが、渡邊雄太が同契約から本契約を勝ち取ったように、間違いなくNBAへと続く第一歩となる。

アメリカの大学から、Bリーグから、さまざまなルートでNBAを目指す日本人選手は、今後も増え続けるはずだ。

カナダ代表との親善試合のときの、ステフィン・カリーとレブロン・ジェームズ。写真/松井啓十郎
カナダ代表との親善試合のときの、ステフィン・カリーとレブロン・ジェームズ。写真/松井啓十郎

もちろん、世界各国の成長速度は日本以上に著しい。パリ五輪に出場する12カ国は強豪ぞろいだ。

2023年のワールドカップ優勝国のドイツ。オーストラリア、カナダ、フランスなどの主力選手はNBAの所属チームでエースクラスが揃っている。

特にフランスは昨季のNBAでルーキーオブザイヤーを受賞した224センチのビクター・ウェンバンヤマがいる。“エイリアン”と呼ばれるウェンバンヤマは、今までのバスケの常識を全て覆しかねないポテンシャルを秘めている。

さらに、チームの総合力では一段落ちるものの、ギリシャはヤニス・アデトクンボ、セルビアはニコラ・ヨキッチと、個の能力でアメリカ代表を打ち破る能力を秘めるエースがいる。

7月21日の親善試合ではFIBAランキング33位の南スーダンがアメリカ相手に100−101とあわやの接戦を演じた。どの国もアメリカ相手に、ビッグアップセットを起こして不思議ではない。もちろんFIBAランキング26位の日本代表もその可能性はゼロではないはず。