「工場の衛生管理がなっておらず、毒性のある異物の混入により…」
小林製薬は、問題のサプリを飲んだ後に腎疾患で入院した人が出たとの報告を今年1月15日に最初に医師から聞いた。
さらに2月27日までに6人が入院したことを確認しながら、問題発生を公表して使用中止を呼び掛けたのは3月22日になってからだった。
「発表までの2か月の間にも摂取を続け重症化した人がいた可能性があり、会社の対応は発覚直後から強い批判を浴びました」(社会部記者)
3月29日に記者会見した小林章浩社長は、発表が遅れに遅れた原因について「(対処する上で)一番大事なのは因果関係。(健康被害の件数が)4、5件あったが(サプリとの)因果関係はわからなかった」と説明。
製品と健康被害との因果関係が把握できれば製品を回収するガイドラインがあると言いながら、3月18日に回収を決断するまで「今回のケースはこのガイドラインにあたらなかった」と繰り返し、消費者の健康よりも会社の都合を優先して発表時期を計っていたことをうかがわせた。
こうした態度も「原因が特定できなくとも、問題が起きればまず公表し使用中止を呼び掛けるのが当然だ」(東京都内の医師)と医療界から強い非難を浴びている。
「この会見の時点で、紅麹コレステヘルプや原料から青カビの天然化合物である『プベルル酸』が検出されていました。
当時はプベルル酸が有毒かどうかはっきり分かっていませんでしたが、その後、厚労省はこれが腎障害を引き起こすことを確認しました。
一方、プベルル酸は紅麹から生まれることは考えにくい物質です。しかし厚労省が同社の製造ラインの付着物を川崎市の国立医薬品食品衛生研究所で分析した結果、大阪や和歌山工場の培養室や培養タンク内の付着物からは青カビが検出され、この青カビを培養するとプベルル酸が生成されました。
工場の衛生管理がなっておらず、毒性のある異物の混入により健康被害が生じた可能性が高くなっています」(社会部記者)