プール中止の影響か? 子どもたちの水泳能力の低下 

「現在うちの学校では熱中症対策のためのプール中止策のほか、授業見学者はプールサイドで座っているのではなく、教室か職員室、または校長室など、涼しいところで自習してもらうようになりました。

基本は教員が監督している中で自習をしています。ただ、人手が足りていない学校も多いのでその場合はおそらく、子どもだけで自習してもらうようになっているでしょう。

こういった対応は今年からだと思います。あとは、水泳の授業でラッシュガードを着るのが当たり前になってきたり、プールサイドに水筒を持参してもらったりなど。我々が小学生だった頃とはまったく違った対応をとっているなぁと、自分自身で指導しながら感じています」(30代・小学校教師、以下同)

スクール水着のラッシュガード
スクール水着のラッシュガード

確かにわずか20年ほど前の小学校では、遠足や運動会など特別なときを除いては水筒の持参はNG。夏は喉が乾いたら、生温くて鉄の味がする水道水をがぶ飲みしていたものだ。

また、相次ぐプール中止によって懸念される、子どもたちの水泳能力の低下だが、やはり教師たちも感じているようだ。

「水泳の授業は暑さ対策もそうですが、子どもの中でもスキルの差が大きすぎるのが難しいところですね。5年生でも顔つけができない子もいるくらいで、とても教員1人では指導しきれないし、安全の確保も困難です。

特に3、4年生あたりだと、教師が手を引いてバタ足だのクロールだのを練習させてる隣で、他の子どもたちを泳がせるため、接触の危険性が常にあります。プール中止による水泳能力の低下が原因なのかはわかりませんが、実際に泳げない子が少なくないことは確かです」

水泳の授業で教師は毎時間、気温、水温、塩素濃度を測り、参加人数、欠席人数、見学人数の記録をして異常がないのか監視。

授業が終わったら、忘れもの、プール内の落としものがないかチェックしながら、子どもたちがちゃんと体を拭けたか確認したうえで、次の授業の指示を出し、その後に自分の着替えをして急いで次の授業に向かわなければならない。

「プールの中に入ってる時間は結局、長くて25分くらいしかありませんね。そんな中で水泳の授業をして、暑すぎると中止にもなる。これではスキルが上がらなくて当然ですし、事故の可能性も高まりますよ」