不耐症とは
不耐症とは、ある食物や薬剤を摂取した時に体内で完全に処理できず、下痢や呼吸困難などの不快な症状を起こす疾患です。例えば、乳糖不耐症は、牛乳に含まれる乳糖を消化するのに必要な酵素(乳糖分解酵素、ラクターゼ)が不足するために下痢などの症状が起こります。
非ステロイド性の解熱鎮痛剤(NSAIDs)の内服や点滴に反応し、鼻汁、咳嗽(咳)、アナフィラキシー、蕁麻疹といった症状を引き起こすのが「NSAIDs不耐症(現在はN-ERD:NSAIDs-exacerbated respiratory disease)」です。
体内のPGE2という物質が、アスピリンなどのNSAIDs摂取により枯渇するために引き起こされる反応と推定されています*1。
化学物質過敏症は「chemical sensitivity」の日本語訳ですが、最近では、化学物質との因果関係が不明なため、「idiopathic environmental intolerance」、直訳すると「特発性環境不耐症」と呼ぶのが適切ではないかという意見が聞かれます。特発性とは、原因不明という意味です。
しかし、明らかに何かの酵素が不足しているという結論は出ていないために、不耐症ではなく「環境過敏症(environmental hypersensitivity)」という呼び方のほうが適切なのかもしれません。いずれにしても、過敏症、アレルギー、不耐症の言葉を適切に用いることが医師と患者さんとの理解にもつながります。
では、話を戻して、化学物質過敏症が誤診されやすい重症アレルギーの主な疾患、「重症気管支喘息」「重症薬剤アレルギー」「重症食物アレルギー」の3つについて解説しましょう。