ネットの普及に高齢化の波…アダルトDVD販売店は大苦戦

最盛期の2008年ごろには、全国に3000軒ほど存在していたアダルトDVD販売店だが、2024年で現存しているのはその3分の1以下の約900軒。1年あたり130軒が閉店していて、このままのペースでいけばあと7年ほどで完全消滅してしまうことに……。

店舗数減少の背景について、アダルトDVDの販売をメインに行う「明治書店 池袋店」社長の本多俊裕さんは以下のように分析する。

「一番の原因は、やはりオンデマンドサービスの普及ですね。インターネットで手軽にAVを見られるようになってからは急激にDVDの需要が下がっていきました。

さらに、業界を窮地に追い込んだのは2020年以降のコロナ禍でした。販売店の主なユーザーは50代以上の男性なのですが、彼らが感染防止のために来店しなくなってしまったため、売り上げが落ちて経営が立ち行かなくなる店舗が続出しました」

改装前の「明治書店 池袋店」の正面玄関
改装前の「明治書店 池袋店」の正面玄関
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また、若者のDVD離れも原因のひとつ。最近ではDVD再生機能がついていないパソコンやテレビも多く、DVDを視聴する機会が減っている状態だ。

違法アップロード動画やSNSで拡散されている無料サンプル動画、あるいは「OnlyFans」「myfans」といったファンクラブサービスのコンテンツでことを済ます人が増加していることも、衰退に拍車をかけている。

「今の若い世代はオナニーにお金をかけるのをきらう傾向にあります。ネットの普及で今まで以上に手軽にアダルトコンテンツに触れられるようになった今、再生が面倒なDVDを手にする必要性もなくなっています。

そしてDVDを必要とされる方々の高齢化も重なって、DVDのユーザーは減少する一方です。新しい顧客層の開拓も困難なため、将来が見えずに閉店する販売店が多くなっています」

そして、販売店の減少によって増加しているのが“AV難民”だ。これまでDVDを購入していた中高年層のなかにはインターネットやオンデマンドサービスの使い方がわからない人も少なくなく、DVDに頼らざるを得なかったそう。

しかし、販売店がなくなってDVDが手に入れられなくなり、路頭に迷ってしまう人も出てきているという。