「最近では日よけを大きくした帽子が好まれる傾向です」
では全国的に“つばなし”は多いのだろうか。現役教師たちにも話をきいた。
「私の学校はみんな“つばあり”の赤白帽を使用しています。地域や学校によって使用されている赤白帽は様々です。後ろに日よけがついているタイプの赤白帽を導入している学校もあると聞いたことがありますが、“つばなし”タイプがあるというのは初めて知りました。
たしかに学校で子どもたちがふざけあって、赤白帽の“つば”のところが目に入ってしまうトラブルになったことがあります。このようなトラブルを考えると、“つばなし”の赤白帽は安全かもしれません。しかし、熱中症が心配なこれからの時期、“つばなし”の赤白帽で十分な対策が取れるのか心配です」(30代兵庫県小学校教諭)
「私の学校では、帽子の裏表が赤と白で、あごに引っ掛けるゴムがついているものを使用する決まりになっています。“つば”の長さや後ろの日よけのある・なしは特に定められていません。
“つばなし”の赤白帽を使用している児童は今まで1度も見たことがないですね。むしろ最近は、熱中症対策で後ろに日よけがついているタイプの赤白帽を着用する児童が増えています。
“つば”を巡るトラブルは聞いたことがありませんが、あごひもを噛んでしまう児童がよくいるので、それを注意することは多いですね。唾液がつくと衛生的にも良くないので。
あごひもを噛みすぎてゴムをが伸びきってゆるゆるになってしまうと、それを直してもらうように保護者の方にお願いすることもあります」(40代神奈川県小学校教諭)
西日本で創業100年以上の学童用帽子を販売する老舗の総合衣料メーカーは「“つばなし”は聞いたことがない」「最近では日よけを大きくした帽子が好まれる傾向です」と“つばなし”の存在に驚いていた。
全国的にもマレな“つばなし”だが、ある公的機関の熱中症の専門家は「“つばなし”でも一定の熱中症対策になる」としたものの“日よけ”の必要性についてこう警鐘を鳴らした。
「炎天下で黒色は紫外線を吸収しやすいので、髪の毛を覆うことができる“つばなし”の帽子も熱中症対策にはなります。ただ、直射日光を避けるためには“つば”がある帽子の方がより効果的です。
帽子は時々はずして、汗の蒸発を促すことも大切です。また、速乾素材や軽・涼素材等の帽子を活用することも熱中症対策になります。 グラウンドなど日陰のない場所で運動をする際は、帽子を着用して適宜休憩や水分補給をし、無理をしないことが大切です」
連日続く猛暑。もはや“つば”の有無では防ぎようもない暑さだが、子どもたちが安全で過ごせることは親の切なる願いである。
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取材・文 足立徒太郎
集英社オンラインニュース班