「2000歩で寝たきり」「5000歩で心疾患や脳卒中」最新研究で判明した病気を予防する歩数の目安。しかし、12000歩は…
「人生100年時代」といわれるほど平均寿命が伸びている現代では、介護が不要な状態を保つ「健康寿命」を延ばすことがより重要であるという認識が高まりつつある。そのために必要になってくる「自分でしっかり歩ける」ことだというが、いったいなぜなのか?
『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』(PHP新書)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
『百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする』#1
歩くことで生活習慣病の発症が数パーセント減少する
これからの10年で、65歳以上の男女が歩数を1000歩増やすとしたら、男性は1日平均の歩数が6396歩で目標をクリアできますが、女性は5656歩で目標を達成することはできません。
ですが、歩数を1000歩増やすことで、認知症や心疾患、脳卒中のリスクを下げることが理論上は可能になります。
前述のように、1000歩というのは、約10分の歩行で得られる歩数です。ですから、目標達成のためには、いままでより10分ほど余分に歩きましょう。
本書のテーマでもある、「歩く」ことを中心とした身体活動を増加させると、生活習慣病の発症が数パーセント減少することが期待されています。
ちなみに、私がいる抗加齢・予防医療センターを訪れる人のデータをみると、男性の場合、6000歩は約60分のウォーキングで達成しています。女性の場合は約78分かかっています。
また、日本人を対象とした大きな研究としては、群馬県中之条町の65歳以上の住民5000人を対象に、東京都健康長寿医療センター研究所の青栁幸利先生らが20年間行った縦断研究がよく知られています。
この研究をもとに、具体的ないくつかの疾患について、それぞれを予防するためにおすすめしたい歩数を、表にまとめておきます。
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なお、歩数だけを達成すればよいのではなく、「中強度の活動時間(たとえば20分以上を目安にする)が重要」であること、また、「歩きすぎ(たとえば1万2000歩以上、中強度の活動40分以上)」は逆効果にもなりえることに注意してください。
文/伊賀瀬道也 イラスト:瀬川尚志 写真/Shutterstock
百歳まで歩ける人の習慣 脚力と血管力を強くする(PHP新書)
伊賀瀬 道也
2024/5/17
1,210円(税込)
232ページ
ISBN: 978-4569857091
「人生100年時代」には、介護が不要な状態を保つ「健康寿命」を延ばすことが人生を楽しむ鍵になる。それには自分でしっかり歩けることが肝要だ。
抗加齢医学研究に長年携わってきた著者は、歩くための力には「脚力」と「血管力」があるという。本書は、百歳まで歩ける人になるために、脚力と血管力を鍛えるエクササイズや、ウォーキング事例を紹介する。
脚力を鍛えるためには、「かかと上げ下げエクササイズ」「片足立ちエクササイズ」「ゆるジャンプ」「座ろうかなスクワット」などがおすすめ。
血管力については、ヒハツ、シナモン、ルイボス茶などを摂って毛細血管を強くすること、ニンニク、ナッツなどを摂ったり、ウォーキングや軽いサイクリング、エアロビクスなどの有酸素運動をしたりして大血管を強くすること、などを推奨している。
ウォーキングについては、著者が考案した「ニコニコ歩き」のほか、「インターバル速歩」「パワーウォーキング」「俳句ウォーキング」などを解説している。
日々の心がけ一つで、いつまでも歩ける人になれる。