ミニストップの強みは本当にアイスクリームにあるのか?
ミニストップの業績予想において、達成のカギを握っているのが日販だ。2025年2月期は44万8000円を計画している。これは2024年2月期を6.4%上回る高い目標である。
なお、2024年3月から5月までの全店の平均日販は41万5000円。前年同期間を0.8%下回っている。四半期は目標どころか、前年の数字にも達していないのだ。
ミニストップの2024年2月期における全店の日販は42万1000だったが、これは前年を1.9%上回るものだった。経済産業省の調査による2023年の市場の拡大ペースは4.4%。
セブンイレブンの日販は69万1000円で前期比3.1%の増加だった。ミニストップの乖離幅は大きい。
セブンイレブンは2期連続3%のペースで増加しているが、ミニストップは横ばいが続いている。今期の日販が前期の6.4%増という目標は高過ぎるのではないだろうか。ミニストップは競合他社との差別化ポイントに目を向けすぎるあまり、消費者を置き去りにしている印象を受ける。
まず、ミニストップと聞いて何を思い浮かべるだろうか。公式ページのトップにも表示されているとおり、店内で作るアイスクリームや独自デザート「ハロハロ」を想起する人が多いはずだ。2023年にもソフトクリームのテレビCMを放映していた。
2010年のやや古い調査だが、ネットリサーチのインターワイヤードによると、各コンビニブランドの中でデザート類が好きだとの回答のトップはミニストップで、6割近くを占めている。他のコンビニは5割程度だ(「『コンビニエンスストアの利用』に関するアンケート」)。
ただし、デザート類が充実しているという消費者の認知は獲得しているものの、数字がついてこない。
2023年は記録的な猛暑が続き、東京では64日間連続の真夏日となった。これは2004年の40日を超えて過去最長を記録している。
そのため、2023年はアイスクリームや氷菓が爆発的に売れた。日本アイスクリーム協会によると、2023年のアイスクリーム類の販売額は6082億円。前年の1割増である(「販売実績概要(2023年度)」)。
しかし、見てきた通り、ミニストップの2024年2月期の全店平均日販は前期比1.9%の増加に留まっていた。アイスクリーム販売増の大波にも乗ることができていないのだ。