「“主”がいなくなったサンエイの店を手に入れたいと思う経営者は多い」
原田氏に話が持ち込まれた4月24日の時点では、平山容疑者1人が逮捕されていたが、事件の全体像は見えていなかった。
原田氏は「えらく話が早いな、と思いました。だって(宝島さん夫妻が)亡くなったばかりじゃないですか。R氏も『いやあ僕もそう思ったんですけど、頼まれたんで』って言ってました」と話す。
社長不在の会社から経営譲渡を受けるというイレギュラーな商取引について原田氏が疑問をぶつけると、R氏は「じゃあ、取りあえずコンサルの人に会っていただいて」と言ったという。この「コンサルの人」が何者で、関根容疑者とどのような関係があるのかを解明する必要があるとみた捜査本部は、5月14日にR氏から事情を聴いている。
社長夫婦に加え「マネージャー」と呼ばれた関根容疑者までいなくなったサンエイの系列店舗は今後どうなるのか。
宝島ロードでは、関根容疑者の逮捕翌日の5月7日からサンエイ系列店のほとんどが休業しており、夜の賑わいが一気に減った。
この通りで数十年前から店舗を営む男性は「宝島さんはコロナ禍が明けた直後にこの周辺に集中的に店を開業し、道路に看板を置いて客引きを行ないトラブルや喧嘩がしょっちゅう起きていた。一時は上野界隈で最も荒れた地域とまで言われた。今多くの店が休業し、昔の静かな街が帰ってきた」とも言う。
一方、原田代表は、自分はサンエイ系列店を買うつもりはないと言いながらも、宝島ロードは人の流れが多く「あそこでちゃんとした商売をやればめちゃくちゃ当たると思う。毎月2000万くらいは(売り上げが)いけると思う」とも指摘、「“主”がいなくなったサンエイの店を手に入れたいと思う経営者は多いだろう」と解説した。
5月15日、かつて宝島夫妻とトラブルがあった近隣の店舗経営者はこう話していた
「お客さんせっかくいるのに、お店が少なくなってもったないですね、従業員も給料もらえてるのかな…ぼくのところにも不動産屋さんから内々で相談がきたけど、是非ほしいね。2 、3店舗まとめてやりたい。1店舗、1000万円でも全然買い取るよ、過去の遺恨はもうないよ。関根さん捕まっちゃったから、宝島さんの娘さん、誰か紹介してくれないかな…」
競争が激しい上野の一角で大きな存在感を誇った宝島夫妻だったが、命を奪われ、築き上げた宝島ロードも、事件発生からわずか1カ月で消えていこうとしている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班