おいしく減塩するのはどうしたらいい?
―自宅でできる減塩にはどんな方法がありますか?
濱先生 「減塩してください」というと極端に塩を少なくする人がいますが、それだと食事も味気なく長続きしません。私たちがすすめているのが主に
1 調理方法を工夫する
2 塩の代わりの味付けをする
3 スープ系の料理はお椀ではなくお皿に盛り付け、具沢山にする
3つです。
赤石先生 1の調理方法の工夫ですが、まずポリ袋を使用します。食材を食品用耐熱ポリ袋に入れて調味料と一緒にもみ込み、そのまま冷蔵庫で味を染み込ませたり、湯せんで加熱調理したりする方法です。この方法の最大の特徴は、調味料の量を正確にコントロールできるため、無駄なく減塩が可能になる点です。なお、ポリ袋で加熱調理する場合は、加熱に適したポリ袋を使用してくださいね。
また、使用する調味料の量を減らしても、空気を抜くことで袋の中の気圧が下がり、味がしっかり染み込みます。物足りないなら、食べるときに塩やしょうゆを少し振りかけてもOKです。
2の塩の代わりになる味付けとは、酸味、香辛料、旨味、香味野菜などを利用することです。例えば、塩の代わりにレモン果汁と醤油で調理すると、塩分を抑えつつ、旨味を引き出すのであらゆる料理に使えます。
濱先生 3については、みそ汁を例に解説すると、一般的なお椀のみそ汁だと塩分は約1.8gあります。これを具沢山のみそ汁に変えると、塩分は約1.4gになります。またお椀を浅いものにかえると1.6gに。さらに具沢山にすると塩分は0.9gに減ります。
スープ系や汁物の食事は、できればすべて飲みほしたいですよね。塩分を考えるとすべて飲むのは避けたいですが。器を浅いものに、かつ具沢山にするなどすれば、飲み干すことなく、食事の満足感を得られます。
醤油差しは1滴ずつ出るものに変える、お寿司を食べるときは、少し醤油をつけてまず舌に触れさせると十分に塩味を感じます。このようにすごく減塩をがんばらなくても、ちょっとした工夫で減塩はできます。
赤石先生 減塩のために避けたい食品は、干物、塩漬け魚、ハムなどの加工品、かまぼこ、ちくわなど練り製品、漬物類、インスタント食品、スナック菓子類なんですが、私は今さつま揚げに凝っていて、つい食べてしまいます。そんなときは漬物や塩漬け魚などは一緒に食べないようにしています。このように塩分が高いものを同時に摂らないように心がけるのも減塩のポイントです。
濱先生 コンビニや外食が多い人も、今はどんな製品でも塩分量は表示されていますし、大手のファミリーレストランなども塩分表示が出ていると思うので、糖質やカロリー以外に塩分にも目を向けてもらえればと思います。
赤石先生 減塩はおいしくない、味気ないというイメージがあるかもしれませんが、調理やちょっとした工夫でおいしく減塩できるので、高血圧の予防対策として試してみてください。
取材・文/百田なつき