空前のフィットネスブーム
丸山 アメリカなどだとボディビルの大会に出るためにアメリカ中をさすらっているような人たちがいて、そういう人たちはあまりお金もないんです。
だけどちゃんとトレーニングをして筋肉は大きくしなければならない。そうなると健康に長生きするよりも、理想の体を手に入れて活躍して、という「人生太く短く」というような思考になるんでしょうね。
ナオキマン それでステロイドに手を出してしまうと。ただ、そういう大会ってドーピング検査とかがありますよね?
丸山 大会の規模にもよるんでしょうけど、多くの場合は尿の貸し借りをしたりして結構簡単にごまかせるようです。袋に他人の尿を入れておいて、排泄するふりしてぴゅーっと出すんですね。
警察がやるハードドラッグの検査なら出す瞬間もちゃんと確認されますけど、そこまでやらない場合も多いのだと思います。
ナオキマン なるほど。でもなぜこれから日本でステロイドが怖いと思われるんですか?
丸山 日本も今空前のフィットネスブームじゃないですか。
ナオキマン ああ! 確かに。
丸山 自分の体に取り憑かれてしまうのって、何もトップレベルのボディビルダーだけじゃないと思うんですよ。少しでもトレーニングをしたりすると、多かれ少なかれみんなそういう思いは抱くと思います。
そして何より、日本でフィットネスを趣味にする人の多くは、余裕のある人ですよね。
ナオキマン 確かにそうですね。ジムに行ったりプロテインを買ったりするのはある程度お金がいりますから、ある程度は豊かな生活を送っている人じゃないとできない。知り合いの経営者などにも、最近パーソナルジムに通い出したという人は多い気がします。
丸山 しかもプロのボディビルダーの方々よりそういった薬物の知識は持ってないわけです。「知識がないけれどお金を持っている人が集まっている市場」となれば、そこに目を付ける悪い人間が現れるほうが自然だと思いませんか。
ナオキマン 言われてみれば、すでに健康を謳っているサプリメントでその根拠がなかったり成分がよくなかったりで炎上するというのはちょくちょく見かけますからね。
丸山 ステロイドなら筋肉を大きくするという効果は間違いなくあるわけですからね。それが余計に危ないと思っています。
文/Naokiman Show 丸山ゴンザレス