JRA史上初の女性実況アナウンサーが誕生
近年の競馬界は女性の活躍が目覚ましい。ここ数年で女性騎手が続々とデビューし、2024年には初のJRA女性調教師も誕生した。そんななか3月3日に、JRAとして史上初となる“女性実況アナウンサー”がデビューした。
「春を思わせるやわらかな明るい日差しがコースを照らしています」
競馬の実況としては聞き慣れない高く澄み渡った声が、晴天の中山競馬場に響き、観客席はざわめいた。実況を担当したのは、ラジオNIKKEI入社5年目の藤原菜々花アナだ。フィギュアスケートと日向坂46を好む彼女は、同ラジオ局に入社するまで競馬とは無縁の生活だったが、見事に実況デビューを果たした。
実況後、藤原アナのXのアカウントには、DMやコメントが500件以上殺到したという。それだけ反響が大きかった女性による競馬実況は、どのようにして実現したのか。
立教大学では放送研究会に
もともと藤原さんがアナウンサーを志すようになったのは中学生の頃。当時、所属していた放送部で顧問を務めていた、元NHKキャスターの前田朱由さんに憧れたのがきっかけだった。さらに放送技術を競う学生大会に出場するなかで、他校の生徒からファンレターをもらったことに感激し、本格的に希望進路が固まるようになる。
「放送部の大会に出場した際、他校の生徒から『話している姿が好き』『陰ながらファンでした』というお手紙をいただいたんです。そのとき、自分の声で誰かを喜ばせられたらと思い、中学生の頃から将来の夢はアナウンサー一筋でした」
その後、進学した立教大学で、放送研究会に入る藤原さん。在学中には『湘南ビーチFM』というラジオ局で、4時間の生放送番組を担当した時期もあり、ラジオ局アナウンサーの道も意識するようになる。
就活時は全国各地の放送局にエントリーし、その一環でラジオNIKKEIを受ける運びとなった。