①バランスのよい食事をよく嚙んで食べよう

「これを食べれば認知症を防げる」というものはなく、逆に「これを食べたらダメ」というものもありません。野菜、肉、魚などをバランスよく食べることを心がけましょう。

栄養面からバランスを取ろうとすると難しく感じるかもしれませんが、食事の「彩り」に気を配れば、おのずとバランスのよい食事になり、抗酸化物質を含んだ食べ物も摂れるようになります。茶色や白色のものだけでなく、緑、黄色、赤などの食材が適度に入る食事を摂りましょう。

食事のときの「嚙む」行為にも意識的になりましょう。私たちは普段、食事のときの嚙む行為を何気なくやっています。しかし、嚙むことは認知症防止にとってじつは非常に重要です。

筋肉の運動によって脳に送られる情報の中でも、あごから送られる情報量はかなり多いとされています。よく咀嚼すると、大脳・小脳ともに血流が8〜20%上昇します。血流が増えると脳に栄養や酸素が行き渡ります。その結果、神経回路の増加が促されたり、細胞の働きを活性化したりする効果が得られます。

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よく咀嚼した約2時間後には、脳内ではFGF(線維芽細胞増殖因子)と呼ばれる成長因子の量がピークを迎え、記憶力や集中力が高まり、学習効果も高まります。

嚙む回数の目安は、一口20〜30回です。普段の食事をよく嚙んで食べるのはもちろん、毎日のメニューによく嚙まなければいけない食材を取り入れることをおすすめします。イカやタコ、根菜、キノコ類、切り干し大根などの乾物は嚙みごたえのある食材です。

おやつとして、ガムを嚙むのもいいでしょう。65歳以上の1000人を対象に行われた記憶力テストで、ガムを2分間嚙んで答えたときの正答率は嚙まないで答えたときの正答率より約15%以上高かったという結果が出ています。