推しを全肯定する推し方への疑問

吉田さんがRのファンに疑問を持ち始めたのは、時間とお金をかけて遠征したお笑いライブだった。YouTubeで観たネタはおもしろかったため、期待感をもってライブに赴いたが、思ったよりもおもしろいと思えなかったという。

しかしライブ後にSNSをチェックしてみると、そこはRを称賛する声であふれており、焦りがつのった。

「そもそも、ファンでもなんでもない人がおもしろくなかった、つまらなかったって言うのと、ファンがそう言うのとでは、ワケが違うと思うんです。

例えばライブのチケットを買って足を運んだら、そのライブに対して文句を言う。それは愛があって、好きで見ているからこそで。でも、Rのファンたちはネタをほめ称えて賛同する声ばかりで。それはRに好かれたいからそうしているんじゃないか。本当はつまらないって思っているのに全肯定していて、その結果本当におもしろいネタもあるのにネタを磨かず、現状に満足したりおもしろくない方向に走ったりしてしまうんじゃないか、って焦ってしまいました」

ライブが賞賛されるイメージ 写真/Shutterstock.
ライブが賞賛されるイメージ 写真/Shutterstock.

才能があり、おもしろいネタがあるはずなのに、ファンがなんでも笑って甘やかすせいで、ネタが仕上がっていないのではと感じた吉田さん。

お笑いを楽しむのではなく、ただRを推してRに好かれるために来ていて、だから批判はせずにあえて全肯定しているのではないかと懐疑的になった吉田さんは、その想いを誰かに賛同してほしくて、SNS上に吐露したのである。

好きで、芸人としてのRのポテンシャルを信じているからこその憂いだった。

「Rの生配信で、Bさんの相方が『ファンレターをもらえるとうれしい』と話をしていたんです。それに対してコメントで『ファンレターを書こうとしても想いがあふれて、余計なアドバイスや苦情が入ってしまう』って書きました。

実際にファンレターを書きかけたけど、半分お笑いライブの苦情になってしまって出すのをやめていたんです。そうしたらBさんの相方が『苦情になってもいいよ』と言ってくれて。確かに他の芸人さんのライブでは、アンケートで苦情や文句を積極的に受けつけている人もいて。ああ、確かに大事かもなと納得していたのもあって、SNSに率直に批判的な感想を載せたんです」

そうした意見をSNSに載せたことを皮切りに、徐々に吉田さんはRのファンたちに疎まれ、ついにBとライブ中に目が合わなくなり、最終的にSNSをブロックされてしまった。その一連の流れをnoteにつづった結果、今日まで多くの意見が寄せられている。