“デメキン”トラブルは医療ミスにあたるのか?
――今回のケースは医療ミスにあたるのでしょうか?
今回は修正手術が成功し、幸いにも怪我や後遺症を残す事態にはなっていないので医療ミスや医療事故とは言えないとは思いますが、一番悪いのは事後対応だと思います。
涙袋の仕上がりに納得していない石川さんの要望を聞き入れないどころか、別の提案(新たにヒアルロン酸を入れようとした)をし、さらに数日間対応をせず放置していたことなどです。石川さんは涙袋を形成したくて来て、誰が見てもおかしいと感じる状態に仕上がったのに、リカバーするための努力を怠り、別提案をした…同じ医者としてありえないですね。
――では仮に麻生先生のクリニックで患者が納得しない仕上がりとなったときは、どのような流れで修正手術をするのでしょうか。
私も以前、涙袋形成の際にいい仕上がりだと感じられず、また患者さんも納得されなかったことがあったので、ヒアルロニダーゼで溶かした経緯はございます。また、豊胸手術で患者さんがもっと大きくしたかったとご満足いただけなかったときに、さらに大きくするための修正手術を行なったこともあれば、その逆もあります。それらは無償で行ないました。
なかには無理な依頼を要望してくる方もいます。しかしそういった場合も納得のいくところまでとことん話し合って、プラスのご料金をいただき修正手術をし直すか、あるいはしないか、いずれにせよ誠心誠意の対応をします。
――改めて、今回の美容医療トラブルについてどう思われますか。
現在、美容医療を求める患者さんはどんどん増えていて、その需要は高まっている。だからこそ利益中心で施術することはよくないと思います。石川さんのケースではカウンセラーが診療内容を決定し、医者がそれに従う体制になっていた。
あたかもカウンセラーが営業マンで医者は技術屋といった体制で、患者が望まない施術をどんどん進めてお金を取ろうとしているように石川さんは感じたと思います。しかし、そもそもカウンセラーは医者と患者さんの間を繋ぐ存在で、施術内容を決めるものではありません。
――現在の美容医療に物申したいことなどありますか。
あまり他院の文句を言いたくはないですが、うちでは基本的に形成外科7年、あるいは東京美容外科で3年以上の研鑽を積んでからメスを握った医師でなければ医師採用はしません。しかし一部の美容外科では医大を卒業後、何の経験も積んでいない研修医のような医師をどんどん採用し、急スピードで全国展開している。
うちは開院して20年、コツコツと事業拡大していますが、そうした儲け主義の美容医療は淘汰されるべきだと思っています。美容医療は綺麗になるための医療で、通常の治療とは違います。だからこそお金よりも何よりも、いま目の前にいる人を綺麗にするために親身に寄り添って手術に挑めるかが一番大事だと思います」
麻生院長は消費者に対し「カウセリングで違和感を感じたら帰ればいい」とも話していた。美容医療トラブルが相次ぐ昨今、その美容医療は本当に自分にとって必要なのかをしっかりと考えてから受けることが大事なようだ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班