須藤元気氏の参戦で漁夫の利となるか、それとも…
一方の野党も、「政権交代を望む」声が強くなっても、勢いに欠ける。乙武氏の出馬が明らかになった同日には、立憲が元江東区議の酒井菜摘氏を擁立する方針が報道された。
ただ、酒井氏擁立に至るまでに立憲は迷走。一時は知名度を重視し、江東区出身の須藤元気参院議員を擁立する案も出ていたが、須藤氏は2020年に「世代交代したい。上の人には引退してもらいたい」と号泣会見を開いたうえで立憲を離党した経緯があった。
そのため党内でも懸念の声があり、共産が難色を示して須藤氏の擁立は断念。結局、酒井氏は主要政党の候補者の中では最も遅く名乗りをあげることとなった。
立憲内からは「酒井氏は2023年12月の江東区長選に出ていたとはいえ、乙武氏に比べ知名度も低い。擁立が遅くなりすぎた」(立憲関係者)と早くも出遅れを指摘する声があがる。
さらに、野党が一枚岩になれていないことも立憲にとってはネックだ。 国民民主党はもともと小池氏に近く、乙武氏に相乗りする見込みで、維新も新顔の金澤ゆい氏をすでに擁立している。さらにここに来て、須藤氏も無所属での立候補を表明した。
「須藤氏は江東区出身で知名度も高く、一定の野党票を獲得するでしょうから、野党票の分散という意味では自民にプラスです。ただ一方で、乙武氏の票も奪われる可能性があります。野党票を分散しつつ、票をとりすぎないでほしい、というのが自民の願いでしょう」(全国紙政治部記者)
岸田首相の今後は、乙武氏と須藤氏の戦いの行方しだいか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班