ヴィジュアル系と呼ばれてブチギレたことも…

ボーカルのhydeがその歌唱力とルックスで目立つ一方で、tetsuya、ken、yukihiroの楽器隊も強烈な存在感を放っているラルク。tetsuyaにおいては、そのベース技術や“tetsuポップ”とも呼ばれる歌メロを意識したキャッチーな作曲センスのほかに、プロデューサーとしても抜群の才能を持っているという。

tetsuyaの魅力について、V系とヘヴィメタルが好きなCDコレクターで、今回、この記事のために貴重なCD写真を数多く提供してくれた“はじめ署長さん”が解説する。

「tetsuyaさんはバンドを売り出す戦略をよく練っていて、ラルクが早く売れたのは彼によるところが非常に大きい。『完全なものを求めているのでデモテープ等を配布しなかった』『ライブの本数を絞ってスケジュールを公表しないことでファンを食いつかせて、ライブに来ないと曲を聴けないようにした』といった戦略は彼が企画したものです。

完璧主義に近く、プロ意識が高すぎてインタビュアーにブチギレるなど、怖い一面もありますが、徹底的にやるその姿勢が、彼やバンドをここまで大きくさせたのでしょう。ビジュアル系と言われて、怒って帰っちゃった1999年の『ポップジャム事件』は有名ですが、最近でも2016年に開催されたV系のロックフェス『VISUAL JAPAN SUMMIT 2016』に、他の3人は出演したのに、彼だけ出なかったこともあります。そういう徹底的にめんどくさいところも魅力だと思いますね」

こうして、今や国民的ロックバンドにまで成長したラルク。現在は、4都市を巡る全国ツアー『ARENA TOUR 2024 UNDERGROUND』を開催中だが、そのタイトル通り、ふだんはなかなか演奏しない“レア曲”を中心に構成したライブとなっている。


1992年にリリースされたオムニバスアルバム『Gimmick』。ここにバンド初の音源となる「VOICE」が収録されている

1992年にリリースされたオムニバスアルバム『Gimmick』。ここにバンド初の音源となる「VOICE」が収録されている

ここしばらくは、メンバーそれぞれがソロ活動に力を入れ、バンドとしての活動が不定期で限定的になっていた中で、ようやく訪れたファン待望の大型ライブ興行だ。

インディーズ時代から追いかけ、もちろん今回のライブツアーにも参加した、ファン歴32年を誇る古参ファンのひかるさんに、今回のライブの魅力を聞いた。

「ラルクのライブはマニアックな曲ばかりで演奏されることがほとんどないため、今回のテーマには驚きました。古参のファンとしては、ライブごとに1~2曲だけでもレアな曲が披露されるだけで感激するというのに…。いつもいい意味で予想を裏切るツンデレバンドなのが魅力で、なんだかんだで30年以上ファンを続けています。これからもきっと応援し続けると思います」

あまり表に出たがらず、気難しく、その分プロ意識が高く、常に新しいものを追究して職人のように音楽性を高めていくラルク。次は、どのような一手で、ファンをときめかせてくれるのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部