就職活動は約40社を受けて全滅、唯一内定がでたのが四谷大塚
集英社オンラインの調査報道で明るみに出た前代未聞の卑劣な性犯罪は、猶予刑で決着した。保護者らに「熱心な先生」と評判だった森被告の“裏の顔”が発覚したのは昨年8月のこと。森被告はSNSのトークアプリを利用して自ら小児性愛者を集め、盗撮動画や画像に加え、女児の自宅住所や保護者の電話番号などをグループ内で晒したあげく、「輪姦したい」などとロリコン仲間に歪んだ欲望を吐露していた。
取材班は、被害女児の保護者に取材するとともに、森被告を直撃したところ“完落ち”。事実を確認した四谷大塚は森被告を即時解雇、保護者から被害届を受けた警視庁が盗撮などの容疑で逮捕し、余罪がボロボロと浮かび上がった。
森被告の盗撮被害を受けた女児は起訴された人数だけでも12人を数え、途中、同塾の先輩講師も盗撮の手助けをしたとして罪に問われ、罰金30万円の略式命令を受けるなど、名門進学塾の“恥部”がさらけだされた。
昨年12月12日の初公判を皮切りに、森被告は法廷でもぶっ飛んだ発言を連発していく。高校時代から自身の小児性愛志向に気づいていたが、2022年4月に四谷大塚に入社したのは子供と接することが可能な職場という理由ではなく、就職活動で志望していた食品メーカーなど約40社を受けて「全滅」、唯一内定の出たのが同塾だったと告白。
一方で「定年までの40年間で、自分が子どもに手を出さないという自信がなかった。だから塾で業績が認められたら(現場ではなく)、テキスト編集などをする出版部門に異動したいと思っていた」と語った。
児童ポルノを見慣れていたので下着の映像では物足りない
盗撮に手を染めたきっかけは、授業中に偶然、女児の下着が見えたことだといい、ふだんから騒がしい児童に対して盗撮で「仕返し」してやろうと思ったという。なぜ盗撮が仕返しになるのかは意味不明だが、これを疑問に感じた検察側の質問にはこう答えた。
「仕返しの方法はたくさんあるが、小児性愛者なので盗撮画像で性欲を満たすことで仕返しをしたかった」
また、変態の同人を募って盗撮動画を共有したり、個人情報を晒したことなどについてはこう証言した。
「最初はほんの出来心だった。(女児は)マスクをしていたし、下着も写っていなかったので、(違法性はないと)言い逃れできると思っていた」
「投稿すると卑猥な反応が返ってきたので興奮し、繰り返すようになった。メンバーは性器が写っている児童ポルノを見慣れていたので下着の映像だけでは物足りない。個人情報が加わることでメンバーの間で妄想が膨らみ、その反応で興奮した」
教え子や保護者らに対しては「事件後、命と家族以外はすべて失いました。自分については自業自得だと思っていますが、被害者の方々は生活が一変してしまったと思います。この場を借りて、お詫び申し上げたいです。本当に申し訳ありませんでした」と謝罪は述べたものの、盗撮については「誰にも気づかれなければいいと思っていた」と罪悪感の乏しさを裏打ちする「認知の歪み」も打ち明けている。
法廷には森被告が性依存症治療のため週2回通院し、カウンセリングも担当している精神保健福祉士も立ち、「認知の歪みは、長く治療を受けた人でも、出てきてしまうことがあり、それに対処する能力を高めるのが治療になる。本人は治療に主体的に取り組んでおり、モチベーションも維持されており、再犯の可能性はかなり低いと考えています」と証言した。
検察側は論告求刑公判で「塾の講師という立場を悪用し、子どもの信頼につけこんだ犯行は悪質であり、実刑が相当」とし懲役2年を求刑したが、判決は「治療」の効果に期待する内容の猶予刑に落ち着いた。この“温情”があだとならないよう、更生を強く望む。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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