「霧の中のアリア」(ジャンプ・コミックス194巻収録)

今回は、両さんが子供の頃に出会った少女「アリア」の記憶と消息をたどるお話をお届けする。

両さんがわずかに記憶しているアリアの住んでいた場所は、「蟻の町」と呼ばれた地域。これは第二次世界大戦による戦災や引揚げで家を失った人たちが、廃品回収を営み共同生活を送っていた、実在の場所だ。住人たちが蟻のように勤勉に働き互いに助け合っていたことから「蟻の町」と呼ばれるようになった。

そして、そこに住む人々を支援していた社会奉仕家、北原怜子は、28歳の若さで病没するまで、キリスト教の教えにもとづいて町の人々のために働き、「蟻の町のマリア」と呼ばれていたのだという。本作は、こういった歴史的事実にインスパイアされて描かれたと思われる。

また、タイトルにある「霧」は、隅田川近くに発生する川霧と、両さんの遠い記憶にかかった霧を指しているに違いない。

それでは次のページから、両さんが思い出の少女を探すお話を、最後のひとコマまでじっくりとお楽しみください!!