「スキヤキ万歳の巻」(ジャンプ・コミックス59巻収録)

今回は、夜勤となった両さんが、さまざまな障害を乗り越えて夜食のスキヤキにありつくため奮闘するお話をお届けする。

さて今回の鍋物料理・スキヤキだが、12月10日からお届けしている「おなべの中身は何だろな?の巻」(ジャンプ・コミックス140巻収録)のおでん同様に、関東と関西では、かなり趣が異なっている。メイン食材である牛肉こそ共通しているが、そもそも調理法が異なるのだ。

関東のスキヤキのルーツは、明治時代に訪れた文明開化によって肉を食べることが流行して誕生した鍋料理「牛鍋」だ。港町で多くの外国人が滞在した横浜の発祥ともいわれている。醤油、みりん、料理酒、砂糖、出汁を合わせて味を整えた「割り下」の中に具材を入れて煮込むのが関東風で、まさに牛の鍋物だ。

対して関西では、まず鉄鍋で肉を焼き、そこに醤油と砂糖を投入して味つけする。味の濃さは水、酒を入れて調整するのだ。いわば焼き肉の一種とでもいえるだろうか。

ちなみに本作以外でも派出所でスキヤキが作られる……なんてレアなシーンが存在する。しかも一度ではない。まずは、「にくいヤツ!?の巻」(ジャンプ・コミックス2巻収録)。両さんは小学生の募金に着服して食材を買いスキヤキを作るのだが、それを子供たちに知られて、スキヤキばかりか口止め料まで巻き上げられてしまう。

また「長い一日!?の巻」(ジャンプ・コミックス17巻収録)では、派出所で弁当を使わせてくれと頼み込んできた行商のバアさんが見事なスキヤキをこしらえ、両さんの目前でこれ見よがしに食べはじめていた……。

どうも両さん、スキヤキにはあまりいい思い出がなさそうだ。

「長い一日!?の巻」より。これは弁当と呼べるのか…?
「長い一日!?の巻」より。これは弁当と呼べるのか…?

それでは次のページから、両さんの必死さに爆笑し、やがて涙する、スキヤキ騒動をお楽しみください!!