優秀な社員しか「週休3日」に対応できない

一方、選択制ではなく、全社員を対象に週休3日制を導入したあるIT企業ではこんな問題が起きていた。同社の社員がこう打ち明ける。

「ウチの会社は週休3日制導入後も給与は以前と変わりません。しかも1日の労働時間も週休2日の時と同じだから、最初は『なんていい会社なんだ!』と思いました。でも、今は週休2日の方が良かったと思っています。それは働く時間が減っても、仕事の量やノルマは変わらないから。

より少ない時間で従来と同じタスクをこなさなきゃいけないということは、自分の仕事のパフォーマンスを上げるしかない。優秀な社員はこれについていけますが、要領が悪い社員は休憩を削り、昼休みも働き、それでも間に合わなければ家に持ち帰って仕事をせざるを得ないんです。

でも、職場の上司は『仕事を家に持ち帰っては週休3日制の意味がない。もっと集中力を上げろ、仕事を効率的にやれ!』とプレッシャーを掛けてくるので、徐々に心の余裕がなくなっていって……。

結局、週休3日で成果を出せる社員は給与が上がり、成果を出せない社員は給与が下がる。はっきりいって週休2日制のときのほうが平和だったし、幸せでしたね」