アニメ化を見すえたストーリー構成

――連載が始まった段階からアニメ化を意識して描いていた部分はありますか?

横槍 アカ先生は連載初期からアニメ化の展開を見すえて構成を考えていたよね。

赤坂 僕はなにかしら縛りがあった方が話を作りやすいタイプだから、アニメでストーリーが綺麗におさまるように章ごとの尺を考えたり、盛り上がりどころを作ったりしてシナリオを考えていきました。さすがに連載を始める前の段階ではアニメ化される確信は持てなかったけど。

横槍 連載してから1巻が発売されたときの世間のリアクションで、その作品がヒットするかどうか結構わかるよね。

赤坂 そうですね。二話三話連載したあたりとか、1巻発売のタイミングくらいで。漫画って連載を続けていくと、どうしても離れてしまう読者は一定数いるんですよね。

横槍 うんうん。

赤坂 でも、それ以上に新たにファンになってくれる読者が多い作品なら伸び続ける。そう判断ができればアニメ化も視野に入りますね。

横槍 アカ先生はここ十年で売れた漫画のジャンル分けをした分析表みたいなものを仕事場に貼っていて、アナリストみたいだなと。

赤坂 漫画家になってからそういう視点を意識し始めて、売れる作品を分析するようになりました。

横槍 ヒットの要因は何なのかとか、逆に失敗の要因が何なのかを分析するのが好きだよね、アカ先生は。

『【推しの子】』のジャンルとは――

――『【推しの子】』はアイドル、恋愛、サスペンスなど様々な要素を内包していますが、明確にジャンル分けするならどういう区分になるのでしょう?

赤坂 「芸能界もの」っていう括りでやってますね。

横槍 私はどんな漫画か聞かれたとき、かっこいいから「人間賛歌だよ」って言ってる(笑)。

赤坂 1巻の内容を気に入って読み始めた人は、サスペンス要素を求めていると思うので、その要素は物語の中で定期的に入れたいと思ってます。そういえば、以前別のインタビューで「アイが死ぬ展開はアドリブだった」って間違って記事になっちゃったことがあって。アイが死ぬところは最初から決まっていたし、現時点で最終巻の内容も決まってます! たまに楽しい寄り道をしながら、初めから決めている部分は当初のシナリオに沿って描いてます!

「作品の嘘っぽさを読者は絶対に見逃さない」明かされる【推しの子】のリアルの裏側<【推しの子】TVアニメ化決定記念 赤坂アカ×横槍メンゴ対談(前編)>_b
衝撃の展開に読者から大きな反響が寄せられた