日本一美味しい温泉は…?

味の好みは人それぞれなので一概には言えないが、筆者がこれまでに飲んできた温泉の中で、個人的に一番美味しいと思ったのは小野川温泉(山形県)だ。

日本一美味しい温泉、まずい温泉はどこ? ハマると深い「飲泉」の世界_g
小野川温泉 飲泉所

小野小町が病を癒したという伝説があり、メタケイ酸を多く含む「美肌の湯」としても知られる温泉地。地元の誰かが源泉に「だしの素」的な何かを入れているんじゃないかと思ってしまうくらいの強い出汁感があり、例えるならば昆布茶に近いような塩味と旨味の絶妙なバランス。

この温泉水を使ってラーメンを作ったら、メチャクチャ美味いスープができそうだ。この温泉街には(おそらく)2か所の飲泉所があるのだが、旅館組合駐車場の横にある飲泉所の方がより美味しかったような記憶がある。

この辺り(山形と福島の県境周辺)は、山の中にも関わらずしょっぱい温泉が点在しており、温泉水を煮詰めて山塩を生産していたりするエリアなので、探せば他にもまだまだ美味しい温泉があるかもしれない。

かたや、日本一まずい温泉は…!

これまた、人それぞれ意見の異なる所であろうが、実は自ら「日本一まずい温泉」を名乗っている温泉地がある。新潟県の月岡温泉だ。

古くから「新潟の奥座敷」として高級温泉宿が立ち並び、近年は新しいお店が次々とオープンして温泉街も賑わいを見せている人気温泉地。この温泉街の一角にある「源泉の杜」に飲泉所があるのだが、その看板には堂々と「自称日本一まずい温泉」と書かれている。

日本一美味しい温泉、まずい温泉はどこ? ハマると深い「飲泉」の世界_h
月岡温泉 源泉の杜

「自称日本一」のお手並み拝見とばかりに飲んでみたところ、これは…確かに相当まずい…。月岡温泉は硫黄成分の濃さが全国2位と言われているだけあって、口に含むとすぐに硫黄のエグみがガツンと来て、しかも後味まで悪い。

国内トップクラスにまずい温泉であることは間違いないだろう。しかし、硫黄泉は生活習慣病に良いとされているので、良薬は口に苦しということで、ありがたく飲ませていただいた。

このように、温泉に入浴するだけではなく飲泉にもチャレンジしてみると、温泉旅行の楽しみがさらに広がると思う。みなさんも自分好みの“お味”を求めて旅に出てみてはいかがだろうか。