女性はヤクザに向いている


――ヤクザといえばガチガチの男社会ですが、居心地はどうでしたか?

まるっと男扱いで、逆に苦労したことはないですね。男っぽい性格だったので、やりやすかったです。髪も短くしていましたし、ケンカのときにスカートだとパンツが見えて格好が悪いので、そもそもズボンばかり。だから抵抗はなかったですね。言葉も男言葉でした。

ふだんはトレーナーにジーンズといった格好でしたが、義理場(事務所の広間)では、黒い背広を着ることもありました。おかげで組員から「宝塚」と呼ばれたりもしました。

――男社会にいて、何か気づいたことはありますか?

みんな会長にペコペコして、自分の意見を言えないっていう。よくないことかもしれませんが、私は思ったことをパッと言っちゃうもんで、おでこにチャカ(拳銃)を突きつけられたこともあります。結局、姐さんが止めてくれて、ことなきを得ましたが……。

あと、男はためらうんですよね。下手して指を詰めることになっても、なかなか覚悟が決まらない。それで経験者の私に落としてくれって回ってきて。結局、下手打った組の人間の指、数人飛ばしましたよ。

20歳、親分の盃を受ける
20歳、親分の盃を受ける

――まこさんも、小指がないですね……。

責任を取らされて落としました。組では覚せい剤は禁止だったんですけど、フタをあけたら、みんなシャブ中なんですよ。商売もしているし。

あるとき、みんながシャブを使っていることが親分にバレました。本部長が親分の怒りを鎮めるために、私だけに「指詰めろ」と言ってきたんです。理不尽にも感じましたが、私がポン中を代表して指を落とし、親分に謝罪する形で収まりました。

当時は「ヤクザなんだから、指が全部あっては格好がつかない」とも思ってもいたので、後悔はしていません。

――想像するだけで痛いですが、どうやって落としたのですか?


自分で日本刀を使い、切り落としました。1刀目では斜めに切れ、指がぶら下がってしまい、ガンガン切り直していたら、第1関節を超え第2関節までいってしまいました。やりすぎました。小指がやけに短いので、まわりから「2回も下手打ったんか」とよく聞かれましたよ(笑)。

日本刀を愛でる西村さんの近影
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