メンバーたちと深めた信頼と絆
ブルース・ブラザース計画の話し合いの後、ベルーシはすぐにメンバー集めを開始。ベーシストのドナルド・“ダック”・ダンは真夜中の電話で起こされた。
「よお! 俺はジョン・ベルーシ。君を金持ちの人気者にするから、NYのリハーサルに来てくれねえか?」
集められたメンバーでのリハーサルが終わり、全員が確信した夜、ベルーシの家でパーティが行われた。すると、ベルーシはドナルドとギタリストのスティーヴ・クロッパーを地下室のボロボロのステレオ部屋に誘い、上機嫌のままソウルの名盤を次々と聴かせた。
ターンテーブルに乗ったのは『ドック・オブ・ザ・ベイ』。しかし、二人の表情が悲しみに変わっていくのがベルーシには分かった。
「何か悪いことしたかな?」
「いや……俺たちは長いこと聴いてなくてさ。オーティスの事故以来、彼のレコードには一度も針を落とさなかったんだ」
スティーヴが静かに呟いた。オーティスと一緒に演っていた彼らに失礼なことをした。そう後悔したベルーシがレコードを止めようとすると、ドナルドが言う。
「いや、そのままでいいよ……いい音じゃないか。最高だよ」
それから三人は古いプレーヤーを囲んで、オーティスのソウルに身体と心を揺らし続けた。
以来、『SNL』でのお披露目前のウォームアップを兼ねて、みんなでR&Bやブルースを歌い演奏した。ブルース・ブラザースとは、メンバー全員の信頼と絆を象徴する言葉に他ならなかった。
数週間後、エイクロイドとベルーシは、黒い衣装と帽子とサングラスで番組に初登場。さらに78年9月にはLAでのデビューコンサートが大成功し、楽屋には花束や祝電の嵐が吹いた。
有名人たちも続々とシャンパンを持って駆けつける中、スタッフやメンバーがはしゃいでいるところに、あのプレイボーイ誌のオーナー、ヒュー・ヘフナーのオフィスから電話が入る。
プレイボーイのパーティに二人を招待したいとの打診。だが、バンド自体が招待されていないことを知ると二人はこう言ったという。
「俺たちはバンドも含めて全員で“ブラザース”なんだ。二人だけじゃ行かねえって、ミスター・ヘフナーにそう伝えてくれ」