自家用車は不可欠
僕が住んでいるような限界分譲地の住民は、通勤も含めた日常生活における移動のほぼすべてを自家用車で済ませているのが一般的である。元々最初から自家用車の利用を想定した分譲地であるし、今日の公共交通網の貧弱さでは、勢いそうならざるを得ないとも言える。
車を持たない都市部在住の分譲地の所有者が、今となっては自分の所有地にまともに足を運ぶ機会すらないのは、年齢のほかにこの貧弱な交通事情にもよると思う。
町内の商業施設に買い物に行く程度であれば、本数の少ないバスの運行時間に合わせて移動することは可能だとは思うが(実際にそうしている高齢者もいる)、勤務先が鉄道駅から離れた場所に立地しているのでは、へき地の分譲地でなくても自家用車を選択せざるを得ない。
車を持たずに生活するのが一番経済的であろうことは、日々の燃料費やその他諸々の維持費・税金で痛感しているのだが、すでに通勤のために自家用車を確保している以上、それを置いて公共交通機関を利用するよりは、その車で移動したほうが効率的なのだ。
我が家も現在2台の自動車を保有している。今の生活習慣を考えれば、1台だけで間に合わなくもないのだが、取材時に使うMTの四輪駆動車(別荘地は悪路が多い)と、AT限定免許の妻も使用する軽貨物のAT車の2台を使い分けている。
すでに退職しているとはいえ僕もタクシーやバスの運転手としての経験があるので、公共交通網が衰退していくことの危機感も一応はある。しかし日々の生活や仕事を考えると、やはり自家用車のほうが圧倒的に楽であり、時間の節約にもなるので、結局は「バスに乗る」という行為そのものを目的としない限り、日常生活で公共交通機関を使うことはほとんどないのが実情だ。
唯一、飛行機が好きな妻と成田空港へ遊びに行く際は、空港の有料駐車場に駐車するより安上がりに済ませられる空港行きの路線バスを利用している。