海外では「自動化=スマートホーム」?

スマートホームの現状を調べていくうちに、面白いことを発見したので最後に紹介したい。

それは、実は多くの日本人がスマート家電を導入しているのに、「我が家はまだスマートホームじゃない」と勘違いしているかもしれない点だ。

昨年開催された「LIVING TECH Week2022-2023:DAY4」の座談会では、アンケートに回答した日本人の68%が「スマートホームデバイスを持っていない」と回答したものの、それが日本の市場規模に合っていないという指摘がなされていた。

「これはどういうことなのか?」と思って海外の導入事例を調べていくうちに、わかったことがあった。

たとえば、筆者の自宅にはAlexaなどの音声アシスタントで操作できるライトが取り付けてある。スイッチやリモコンいらずで、声だけで照明を操作できる––––多くの人にとって、これがスマートホームの形であるはずだ。

中国の普及率92%に対して13%。スマホや音声で家具や家電を操作する「スマートホーム」が日本で普及しない最大の理由_04
アプリや音声アシスタント経由で操作できるスマートホーム対応のライトも各種販売されている

一方で、玄関には人感センサーで自動的に点灯するライトも設置している。こちらは筆者としては「買い物袋で手が塞がっていても電気が点くので便利だな」くらいにしか思っていなかったのだが、海外では、これも十分にスマートホームという認識なのだそうだ。

家電がネットワークに接続されており、それをスマホや音声で操作できるものがスマートホームだと思っている人も多いはずだ。しかし、海外では「自動化」という観点があればいいらしい。ならば、人感センサーを使ったライトだって、たしかにスマートホームだ。

ということは、筆者は洗面台にも手動ポンプではなく自動で泡が出るオートソープディスペンサーを利用しているが、これも立派なスマートホームということになる。これらの考え方の違いを踏まえれば、気づいていないだけで、意外と日本もスマートホームの導入割合は低くない可能性がある。

とはいえ、海外のように指紋認証やスマホでドアの鍵を開け、ホームセキュリティカメラで訪問者を自動的に確認でき、温度センサーで室内温度を自動的に調整してくれる、といった“ザ・スマートホーム”から見れば、利便性で遅れをとっていることは否めない。果たしてこの先、日本で「スマートホームは当たり前」と感じられる日がくるのはいつになるのだろう?

<参考文献>
RoomClipとLIVING TECH協会、共同でレポートを発表/スマート家電・スマートホームの日本と海外の普及の開きは5倍以上 | 一般社団法人LIVING TECH協会
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000057987.html

【スマートホーム家電の認知率・利用動向】10,488人アンケート調査|日本のスマートホーム市場の動向レポートを発行 | BENRI LIFE
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000113195.html

文/篠原修司