同じ部屋なのに安いときは2000円で高いときは3万円
細谷家は地元でも有名な資産家で、昨今は経営するホテルも予約がとれないなどで事業は順調に見えたが、実際は恒常的に資金繰りに苦しんでいたという。取引先の関係者が続ける。
「社長はあまりホテル経営には向いてない感じでした。資金繰りは厳しくて、最近も銀行や旅行会社の業者などから支払いの滞りがあるとホテルに電話がかかってきていました。
売上的には問題ないはずですが、増築に金をかけ過ぎて借金がかさんだようです。あとは料金設定もおかしくて、同じ部屋なのに安いときは2000円、高いときは3万円といった感じでめちゃくちゃでした」
要するに経営感覚に乏しい放蕩息子だったということだろう。ホテルには子どもたちを連れてくることもあったという。
「ホテルの備品を社長が届けに来るときに子どもが一緒のことがありました。3人全員だったり1人だけだったりバラバラでしたが、決して虐待とか叱りつけていたようなイメージはないです。普通のお父さんのように子どもたちと話していましたから。奥さんは本当に話したこともないのでよくわからないです。ホテルはずっと予約で埋まっているので、この先どうなるかは心配ですけどね……」
健一容疑者の父親と長年付き合いがあったという男性は、こう肩を落とした。
「先代とウチの親父が仲良くて、健一くんのことも知ってますよ。20年前にはイタリアに革の展示会に行ったのですが、そのときも顔を合わせています。おとなしいというか人見知りというか、典型的な2代目って感じでしたね。どこか父親を怖がっているようでもありました。
当時は父親の会社の従業員として働いていて、その前は婦人靴の会社に勤めていましたがクビになってます。まぁ、あまり仕事ができるイメージではありませんでしたから。イタリアにいるときも、展示会の関係者が健一くんにとって気にくわないことを言ったのですが、『お父さんに言いつけてやる』と言ってました。20代半ばにもなろうかという大人が言うことではないわ、と内心呆れましたね。
あとはイタリアのホテルとかって日本人なら慣れてないこともあって、4つ星とか5つ星のホテルに泊まることが多いのですが、健一くんだけがひとりで1つ星のホテルに泊まっていました。ケチなのか『お金がもったいない』とか言ってましたね。性格はおとなしいんですが、何があったのか…」
健一容疑者の父親の別の友人によると、父親は健一容疑者と志保容疑者の結婚を“反対”していたという。
「俺が親父さんから聞いていたのは、健一の嫁さんが子どもの面倒をまったく見ない母親だったってことだな。幼稚園や保育園の送り迎えも全部健一がやっていて、だから親父は健一に『子どもを引き取って奥さんとは別れろ』と言ったとも聞いていた。でも、別れなかったみたいだな。親父は血液の難病にかかって亡くなってしまったんだけど、他の人たちには何があったのか…」
事件の全容解明が待たれる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班