休館か、閉館か。
健さんの言葉には、続きがあります。
「夢を見ているだけではどうにもならない現実問題。どうぞ、日々生かされている感謝を忘れずに、自分に噓のない充実した時間を過ごされて下さい。ご健闘を祈念しております」
感激しました。昭和館を守ろうと決意しました。
健さんの映画を、ずっと見てほしい。
費用が高くて購入をためらっていたDCPのデジタル上映機器を、2台購入しました。35ミリのアナログ映写機も、過去の名作を上映するために残しました。
2014年に亡くなられたとき、日本でたった1館、うちだけが健さんの主演映画をかけることができたのです。『新幹線大爆破』のアナログのフィルムが、昭和館に届いていたので……。
瓦礫の山を探しました。あの手紙に、わたしは救われたのです。
どこかにあるはずだ。ほんの切れ端でもいい。どこかにあってほしいと祈りながら。見つかりません。
ファンの方々に申し訳ない。健さんに申し訳ない。
35ミリの映写機が出てきました。巨大な鉄の残骸ですが、これがあったから、健さんの映画を上映できたのです。
瓦礫の近くに立っていると、小倉のまちの方々が声をかけてくださいます。涙ながらに、一緒に悲しんでくださいます。
休館か、閉館か。
心は揺れています。再建は無理だろうと思うのですが、閉館を決断することもできない。まちの人たちが昭和館を必要としてくれるのであれば、できることを考えたい。
それだけでした。
写真/shutterstock













