マスコミに追いかけ回された
ーー教育を受ける権利があるのにそれはひどい。ほかにも、麻原彰晃の娘ということでどんな苦悩がありましたか?
小さいころは週刊誌やテレビに追われて大変でした。スーパーで買い物をしていたら「アーチャリーでしょ」って声をかけられて、怖いから逃げるとカメラマンやリポーターが追いかけてきて路地裏みたいなところに追い詰められて……。「取材に答えるので逃げているところや買い物しているところは放映しないでください」って言って取材を受けたのに、結局、約束を守ってくれなくて「逃げているアーチャリーを捕まえた」みたいな報道をされたり。
ーーその報道に社会的意義があるとは思えないですね。全く理解できない。
怖かったです。今でも誰かに追いかけられる夢を見ます。
ーーその後、教団から離れることができたのはいつだったんですか?
24年前。16歳のときにちょうどオウム真理教が解散して、松井武弁護士と出会えたことなどいろいろなきっかけがあって、学校にも行きはじめることができました。
ーー弁護士の松井先生とはいつ出会って、どんなことを言ってもらったんですか?
私が自分の住居に入ったことを「住居侵入」とされ、逮捕されたときに弁護してくださったのがはじめです。そのあとも、観察処分のときに身元引受人になってくださって。毎月1回はお会いして、「問題を一個一個分けて考えてみようね」って、そういう話をしてくださいました。
ーー麗華さんにとっては教団外で自分のことを真摯に考えてくれる信頼できる人だった?
父のことも、「あの事件の麻原彰晃」みたいな感じの扱いは一切されなくて、「私のお父さん」として話してくれました。そのことですごく尊重してもらえた気持ちになりましたね。個人として認めてくださったし、社会で生きていく術も教えてくださいました。
(#2に続く)
取材/たかまつなな(笑下村塾)
#2「死刑がなくなってほしい。誰にもこんな経験をしてほしくない」“麻原彰晃の娘”が語る、オウム真理教の教祖を父にもつということ
(関連動画)父親の逮捕後、マスコミに追われ続け…教祖の娘として扱われた壮絶な人生とは? 松本麗華さんが語ります【オウム真理教】https://youtu.be/HzT9MkoY44E