おむすびや唐揚げだけでなく、副菜の美味しさも『ネコメシ。』人気要素の1つ。その中でも、キャベツのお漬物には熱烈なファンがいたそう。
「『ネコメシ。』さんのケータリングは、なんだかおつまみのような気軽さと癖になるおいしさがあって、撮影で疲れて少し味の濃いものが食べたいモデルやスタッフにも好評でした。それでいてバランスよくたくさんの食材が入っているので、炭水化物が多くなりがちなロケ撮影の現場でもとても助かっていました!」ーー門名美苗 non-no編集
<キャベツのお漬物>
キャベツ・・・4分の1個(350g)
調味料・・・酢大さじ1、レモン汁小さじ1、ナンプラー大さじ1、砂糖小さじ2
①キャベツを食べやすい大きさに切る。
②密封袋に切ったキャベツと調味料を入れて、揉む。
③袋の空気を抜き、調味料をキャベツに行き渡らせるようにする。
④冷蔵庫で1晩置く。
⑤仕上げにごまを散らす。
お弁当以外の料理を通して、わかったお弁当作りの極意
2016年から2019年にかけては、ケータリング業だけでなく店舗での営業も行っていた。完全予約制の店舗には、『ネコメシ。』の噂を聞きつけたグルメが集まっていたという。
「お弁当のような時間経過を想定した料理だけでなく、出来立てを提供できる料理もやってみたかったんです。最初は小料理屋、次に喫茶店を運営しました」
店舗での営業を始めてから、お弁当作りで気付いたことがあったと熊谷さんは語る。
「喫茶店を始めてから、お弁当とパフェは構造が似ていると気が付きました。パフェは上からスプーンを入れて、徐々に降りていくように食べ進めますよね。パーツの1個1個がおいしくても、縦で組み合わせたときに味がマッチしないとおいしく感じない。お弁当も同じで、パーツも重要ですが、ひと箱で味わいが完成すると考えておかず同士を組み合わせるのが重要なんです。甘味・酸味・辛味・塩味をバランス良く入れるようにしていました」
熊谷さんの料理は、時間差で人を喜ばせるギフトのよう。作り方ひとつひとつに自分の手を離れたあとに、さらにおいしくなる秘訣が込められていた。
「唐揚げもおむすびも出来立てよりも冷めた後の方が味が染む気がしています。ネコメシ。は、時間が経って味が馴染んでやっと完成するんです」
残念ながら「ネコメシ。」は2022年に閉業してしまったが、熊谷さんは次に、手土産用の大福の制作にチャレンジしているそう。その名も「ねこふく。」(仮)。実際に食べられるようになるその日が今から待ちきれない。
写真/猪原悠 取材・文/平井莉生、川端うの(FIUME Inc.)