佐々木 家畜の糞尿からも作られるっていうあのメタンですね。何が違うんですか? 

宇推 例えばSpaceXが開発した再使用ロケット、ファルコン9はケロシンを燃料に使っているんですけど、灯油系は燃やすと“すす”がでるんですよね。実際、打ち上げ後のファルコン9はすすだらけになってるんですけど、一方でメタンはすすが出ないんです。さらにもう一点、メタン燃料は火星で生産でき、火星探査の際も現地調達の可能性があるから開発を進めていると言われてます。

佐々木 へえ、そうなのか! 面白いな。

宇推 燃料としての扱いやすさや入手のしやすさもありますね。ロケットの推力や燃費としては、他と比べて特段優れているということではないんですが、こういういろんな理由で新しい選択肢としてあがってきてる。二酸化炭素の排出量が少ないので環境面でもアピールしやすくて、時代にあっているのかも。

佐々木 そんな中で、日本のロケット開発の立ち位置ってどうなんでしょうか?

宇推 ロシアは最近打ち上げの回数が減っているから、アメリカ、中国、インド、日本……。という感じかな。EUも、ESA(欧州宇宙機構)とJAXAの共同ミッションがあったりするので注目しておきたいですけど、国単位ではないので別枠と考えると個人的には日本は4番手くらいかな、と思います。 あと韓国も最近頑張って打ち上げようとしている印象ですね。
 
佐々木 開発だけじゃなく月面着陸とロケット打ち上げの実績もロシア、アメリカ、中国、インド、日本の5か国がリードしてますよね。僕が携わってきたX線天文学分野でも同じなので、やはり、という印象です。

宇推 ただ、日本は今回のSLIMのピンポイント着陸もそうですけど、結構ユニークで面白いことに挑戦しているんじゃないかなと思います。着陸方法自体も、これまでは脚を広げて着陸する方法が主に採用されていたけど、SLIMは姿勢制御しつつ斜めにコロン、と倒れながら着陸するという方法でした。安定性があるという点でも独自性を感じますね。

佐々木 着陸時の衝撃を吸収する緩衝材が3Dプリンターで作られた点も面白いな、と。

宇推 SLIMのプロジェクトをまた受け継いで、この先探査機に色々な機能を持たせて月探査をすることも見越されていますし、HAKUTO-Rも頑張ってる! 今回は特に着陸のLIVE配信や、JAXAから着陸に関する細かいデータも提供されていて、情報の配信方法にも素晴らしい取り組みがあったと思います!

佐々木 太陽光発電やエンジンのトラブルがあったものの、SLIMからのデータはJAXAに集まっているみたいなので、今後も色々な情報が出てくるはず。注目したいですね!

取材・文/よみタイ編集部

※「よみタイ」2024年1月26日配信記事から抜粋・再編集

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