「会長」と呼ばれていたカミンスカス

積水ハウスがJ R山手線五反田駅近くの旅館の土地購入代金として、地面師グループに55億5000万円を騙し取られたのは2017年6月1日のことだ。それからほどなく浅草のフィリピンパブで、カミンスカス受刑囚が帝王のように振る舞い出したのを、地面師グループのメンバーも苦々しく思っていたようだ。グループの関係者だったB氏が取材に応えた。

「小山といえばグループみんなから『宇宙人』と呼ばれるくらい発想がぶっ飛んでいて、リスクを顧みず突っ込んでいけるタイプだった。正直言って、積水ハウスの事件は小山なしには成立しなかっただろうし、その意味では彼の“手柄”といえるだろう。

アイツは浅草のGには毎晩のように通って、50万、100万円とキャッシュで払ってた。だから俺は『お前、派手にやりすぎだ』と何度か注意してたんだ。ヤツはモラレスだけでなく店のママからも『会長ぉ』『会長さぁん』って呼ばれてたから『お前、いつから会長になったんだよ』って突っこんでやったけどな」

カミンスカス受刑囚(左)とモラレス容疑者
カミンスカス受刑囚(左)とモラレス容疑者

Gではアヤが“小山会長”にしなだれかかる様子がたびたび見られていた。地面師グループのメンバーのほとんどは銀座のクラブを愛用していたが、小山受刑囚は浅草をホームグラウンドとしていたという。

「小山はなぜか浅草のGが好きで本当に毎晩通ってた。ヤツは明らかにガラが悪いから、自分でも銀座の雰囲気が肌に合わねーと思ったんじゃない? それにフィリピンの女はもてはやしてくれるし、それが居心地よかったんだと思う。小山はGのホステス3人くらいに浅草にマンション買って住まわせてたから、モラレスもそこに住んでたはずだよ」

小山受刑囚が後に得た「カミンスカス」という名は、2018年に入籍したリトアニア人女性の姓で、外国人女性が好きなことはみんなが知っていたという。