“残るフェス、消えるフェス”の二極化が進む

しかし、規模の大小問わず、フェスの多様化が進んだ一方、どこも似たり寄ったりのフェスが乱立し、「もはや飽和状態になっている」と井出氏は話す。

「時期や日程によっては同時多発的にフェスが開催され、集客が分散してしまっているほか、次々と新しいフェスが生まれては消えていくような状態です。さらに、昔と比べてあまりにフェスの数が増えすぎたため、企業協賛をつけるのが難しくなっている。

加えて、フェスの運営スタッフの人手不足や物価上昇による運営コスト、チケット価格の高騰なども相まって、継続開催できるフェスが少なくなっています。2024年はその流れが加速し、淘汰されていくフェスが出始める過渡期になるかもしれません」

空間や装飾、音響など職人芸が光るフェスの舞台製作。
人同士の信頼によって成り立つアーティストのブッキング。

“生モノ”を扱うがゆえに、ITで代替できないフェスは、まさに“残るか消えるか”の瀬戸際に直面しているのだ。