1ヶ月の家賃が400万円以上するテナントも
黒門市場で1個3000円のウニを食べていた中国人カップルに翻訳アプリを通して話しかけると、「すごくおいしい、毎日食べたい」と答え、「3000円は高くないですか?」と聞いても、「高くない。安心して食べられる」と満足気だった。
中国系の店舗が広がった理由について黒門市場で60年以上営業している店舗の40代店主が教えてくれた。
「黒門市場は歴史のある商店街なので、どうしても二代目、三代目といった跡継ぎが見つからずに廃業してしまう店も多い。そこに近年、中国人のオーナーがインバウンド需要に目をつけてテナントを借りだした。うちは祖父の代から借りているから、家賃はそこまでかかりませんが、新規テナントに対しての家賃はかなり高いらしい。そのコストを回収するために高値で売ってるのでしょう」
黒門市場の「親栄会」や「黒門会」といったメイン通りに属するエリアの店舗は、1ヶ月の家賃が400万円を超えるテナントもあるという。
黒門市場商店街振興組合も、市場の店舗に向けて「適正価格(百貨店の販売価格と同程度)で商売しましょう」と呼びかけているが、中国系の店舗に指導するのは難しいという。
「新しくオープンした店は組合に加入していない店も多い。そもそも彼らはインバウンド需要を見込んでオープンしてるから、“地元のお客さん”とか“地域密着”なんて関係ないんです。まぁ、迷惑な話ですけど、商売人である以上、値段をいくらに設定しようが自由ですからね」
年末年始に向けてますます活気を増すであろう黒門市場。果たして地元民を笑顔にできる日は戻って来るのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班