“道化”として生きる…てんちむを続ける覚悟

この文章を読んだとき、あまりにも心を引きずり込まれて「この本を自分で書くのはやめようか」と思った。光と闇のコントラストが強く、抗えない引力がある。本当に絶望しながら生きる覚悟をしたから書ける文章だ。

「生き延びるためにプライド捨てた」豊胸炎上後のてんちむ、5億円自腹返金で再起決意も、裏アカに綴った葛藤「道化として生きて最後の金稼ぎをする」_4
すべての画像を見る

取材でのてんちむは、目的達成思考の理論を筋道立ててサラサラと答えていたので、こんなに壮絶な葛藤とあきらめの果てに立っていたとは思わなかった。

「プライベートよりも仕事を優先してきたから人の目を気にしなくなった」と答えていたが、「恐れてた『嫌われ者』になり、嫌われ者だからいいやと何事も吹っ切れる」ことでさらに人目を気にしなくなったのだ。

ぜひこの文章を読んだ後に、無人島生活の動画を見てほしい。野生児のようにドロを体に塗り、手づかみで捕まえたバッタを揚げて食べ、漂流してきたウコンの缶を使って小麦粉を練ったチネリ米を作り、木の棒に巻き付けてパンを焼いて食べていたてんちむが、夜ひとりで寝袋にくるまり、こんなことを考えていたのだと思うと—なんだかたまらないのである。

確かに、ときおり伏せる目元には影があった。それでもガシガシと草木を踏みしめ、てんちむを全うしている。

文/てんちむ・秋カヲリ
写真/『推される力 推された人間の幸福度』より出典

#2 「ちょっと今日脂肪吸引してきた」1日2時間睡眠・トリプルワークでてんちむが見せたプロ根性…スタッフをも虜にした、彼女が“推される”理由

#3 ゴキブリと一緒に寝泊まりし、芋虫にかぶりつく…2千万円を投じた海外旅で、てんちむが気づいた本当の“お金の価値”「お金は使わなかったらただの紙切れ」

『推される力 推された人間の幸福度』
てんちむ
「生き延びるためにプライド捨てた」豊胸炎上後のてんちむ、5億円自腹返金で再起決意も、裏アカに綴った葛藤「道化として生きて最後の金稼ぎをする」_5
2023年11月18日発売
1,870円(税込)
344ページ
ISBN:978-4910903040
「私を死なせてでもてんちむを生かす。道化になっても生き抜いてやる」

10歳から29歳まで推され続け、2023年9月に無期限活動休止した天性のインフルエンサー・てんちむの度重なる転落と再起を追い、鬼の自己プロデュースによる【推される力】を彼女の言葉と周囲の人々の言葉で赤裸々に紐解く1冊。
大炎上から半年で5億円を支払った逆転劇の裏側と、活動休止に至る葛藤とは―?

自分をさらけ出して私生活を切り売りし、人気と幸福度に向き合ったてんちむが、29歳最後の日に届けるこれまでの総決算。

「炎上後は『全身整形して別人として生きていきたい』って何度も言ってました」(アシスタント)
「たかが2億2000万円を守って、てんちむ生命を終わらせてたまるか。炎上商法と言われるものをやって、今のバッシングも全て生かして、私を死なせててんちむを生かして、道化として生きて最後の金稼ぎをするしかない」(てんちむ)
「銀座にバケモンが来たな、と思いました。こんなに売上を立てる人は見たことがないですし、たぶん今後も現れないと思います」(クラブ・黒服)
「過程から本番までの見せ方がうまくて、女性は『夢中になってるてんちむを見てると幸せ』ってなるし、男性は『無邪気で愛せる』ってなる。『コイツ、おもろいから追い続けたいな』って思うんです」(友人)
「彼女はどれだけ避けても、投げ出しても、逃げ出しても、その場その場で成功してしまった。家出して上京しても、芸能活動を辞めても、モデルを辞めても、人と向き合わなくても、それでもずっと成功してきた子なんですよね」(元恋人)

――この本を読んだあなたは、私に対してどんな印象を受けるんだろう。強い?自立?自由?破天荒?想像通り?
私はこの本を読んで「とても頑張ってるはずなのに、かわいそうな人」に見えました。この本の取材期間中は、私自身を見直す期間でもありました。(てんちむ)
amazon