イートインスペース&24時間営業の特徴はBARと親和性がよかった

ではコンビニがBARという新しい業態に取り組み始めたのは、どういった背景があるのだろうか? ファストフードや外食産業に詳しいフードアナリストの重盛高雄氏に解説してもらった。

「コンビニがBARを取り入れた背景には主に2つの理由があります。まず1つ目に、以前から増え始めていたコンビニのイートインスペースとBARの相性がよかったということ。

コンビニ側には以前から、昼食やカフェタイムにちょこっと利用してもらうよりも、アルコールという単価の高いものを提供することで、お酒をゆっくり嗜むような新たな客層を取り込みたいという狙いがあったのだと推察できます。

2つ目は、コンビニの生き残り競争が熾烈になっているということ。コンビニチェーン同士の戦いが厳しいのはもちろんですが、コンビニ対スーパーという競合構図もあります。お惣菜などをはじめ、いまやスーパーマーケットにも手軽でおいしく安いものが揃っているので、コンビニの強力なライバルとなっているのです」(重盛氏、以下同)

大手チェーンのなかで最大手のセブン-イレブンが唯一、コンビニBARに参入していないが、その理由は?

「セブン-イレブンは前々からPB(プライベートブランド)に力を入れており、独自のブランディングで充分な固定ファンを獲得できています。すでにローソンやファミマと差別化が図れているため、ライバルチェーンが試験的に開始したバーにわざわざ参入せず、様子見をしているのでしょう」

セブンイレブンは「金の〜」でおなじみのセブンプレミアムが好調のため、BAR参入は様子見している?  写真/shutterstock
セブンイレブンは「金の〜」でおなじみのセブンプレミアムが好調のため、BAR参入は様子見している?  写真/shutterstock
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ではコンビニBARはこれから、増えていくのかだろうか。

「いまコンビニ各社の課題となっているのが各々のブランディングやローカル化です。そのコンビニにしかない“強み”というものが現在は曖昧になっていますので、ストロングポイントをいかに見つけて売りにするのかということが課題になっています。

また、ライバルのスーパーにはないコンビニの最大の特徴は24時間営業であることで、BARはその強みとの親和性が高いです。そのため今後もコンビニBARは普及していくのではないでしょうか」

取材・文/瑠璃光丸凪/A4studio