どんなデータで流行状況を判断できるのか?

咽頭結膜熱の流行傾向の推移は、自治体の報道発表などを確認する以外にも、国立感染症研究所が公開している咽頭結膜熱に関する「定点当たりの報告数」のグラフを読み取ることで判断できます。本記事の執筆時点(11月27日時点)においては、このグラフの値が「3.00」をすでに超えています。

【全国規模で警報レベル】今年、感染拡大中の「プール熱」が過去最多に…SNSでは「コロナよりつらいかも」という報告例も_3

この「定点当たりの報告数」という表現は、「定点把握対象疾患」に指定された感染症に対して使われるものです。

一般的に、正確な患者数を把握するのは難しいものの、流行傾向を把握したい感染症がこれに指定されています。具体的には、感染者数の報告に協力してくれる「定点医療機関」が各週に報告した感染事例の数を、定点医療機関の数で割った値を意味します。

つまり、1つの医療機関で、1週間にどのくらいの感染者が報告されているのかを表している数値だと思っておくと、規模感がイメージできるでしょう。執筆現在、ざっくり表現すれば、小児科の定点医療機関において毎週3人以上の患者が確認されているような状況なのです。

たとえば、東京都の報道発表資料によれば、都の警報基準は次のように説明されています。

小児科定点医療機関から報告された咽頭結膜熱の患者数を保健所単位で集計し、1定点当たり3.0人/週を超えると警報開始となります。警報は1.0人/週を下回る(警報終息)まで継続し、警報開始から警報終息までの間の状態を「警報レベル」としています。

(出典:東京都 2023年10月12日 保健医療局「咽頭結膜熱(プール熱)が流行、都内で警報基準に達する」