典型的な訪問営業からポイントサイトを使った手口まで。幅広い詐欺事例
詐欺師はどのような手口で人々を欺くのだろうか。まずは典型的な手口を聞いた。
「火災保険詐欺は、訪問営業が一般的です。自然災害による被害を受けた家など、一部損壊している家が狙われます。また、高齢者しかいない家も格好のターゲットになりやすいですね」
ここで、国民生活センターに寄せられた相談例(※1)を紹介しよう。屋根が一部壊れ、雨漏りに困っている40代男性に、事業者から「火災保険の保険金で修繕ができますよ」と連絡があった。
実際に訪問を受けて約400万円の見積りをされ、保険金でカバーできるという言葉を信じて契約したが、実際に保険会社が家を鑑定したところ、工事費用を下回る保険金しか出ないという。
契約を解消しようと思って契約書類を見たら「工事をしない場合は、違約金として保険金の5割を負担して」という記載があり、悪徳商法に引っかかったことがわかった、という例だ。
「詐欺師の中には、東京にペーパーカンパニーを作ってから台風被害を受けたエリアに赴き、そのまま現地になじんで多数の契約を取る人もいるそうです」
と八木さん。さぞかし儲かるのだろう。詐欺師も本腰を入れている。
一方で、珍しい火災保険詐欺の手口も。八木さんは、国民生活センターに寄せられた別の相談例(※2)を挙げた。
「あるポイントサイトで『家の外壁や屋根の修繕に関する無料調査を受けたら、3万円相当のポイントがもらえる』という広告を見つけた40代の方が、ポイントほしさに無料調査を申し込みました。
来訪した事業者から『診断する前に契約が必要』と言われ、保険金請求に関する契約を完了。すると、その家には壊れている部分がなかったのに、事業者は『雨どいが曲がっているから保険請求しよう』と強引に保険会社のホームページから事故連絡させられたそうです。
保険会社を騙すのはよくないと思い、この方はすぐに事故連絡を取り消し、契約もクーリングオフしたため実害はありませんでした。ちなみに契約書面には『保険金額の50%を報酬として支払う』という記載があったそうです」
「ポイ活」をしている方からしたら、身近なポイントサイトにまさか詐欺が潜んでいるとは思わないのではないか。
※1:独立行政法人国民生活センター「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」1.相談事例、事例1を参照
※2:独立行政法人国民生活センター「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約しないようにしましょう!」1.相談事例、事例6を参照