「ヴィンセント先輩超え」なるか、大学長距離界におけるすごい留学1年生
東京国際大のイェゴン・ヴィンセントの登場によって、大学長距離界における留学生の「次元」が変わってきたようだ。
ヴィンセントは2020年、1年生の時に箱根駅伝の3区で区間新記録をマークすると、翌年は2区で区間新。3年の時は不調もあって2区で区間5位となったが、23年に出場した最後の箱根では4区に登場し、またまた区間新記録を樹立した。これで2、3、4区と区間記録保持者にはヴィンセントの名前が並ぶことになってしまった。
東京国際大学は、ヴィンセントが卒業して苦しくなると思ったが、2023年春には、またまたすごい1年生が入学してきた。
ケニア出身のリチャード・エティーリは4月22日に10000mで27分06秒88の学生新記録を樹立すると、5月4日には5000mで13分00秒17のこれまた学生新記録をマークした。
いずれもヴィンセントの記録を上回っている。順調にいけば、5000mでは12分台をマークするだろうし、箱根駅伝でも「ヴィンセント先輩超え」が期待される。
しかし、実は箱根駅伝における留学生は優勝に絡むファクターにはなりづらい
こうなると、日本で生まれ育った選手にとっては勝負するのは厳しいと思わざるを得ないが、ヴィンセントが本調子でないと、日本の選手がタイムで上回ることも珍しくなかった。
その筆頭は田澤廉(駒大→トヨタ自動車)だったが、ヴィンセントほどの破壊力をもった選手がいたとしても、箱根駅伝では優勝につながらないところが面白いところだ。
もちろん、距離、人数ともに少ない出雲駅伝では留学生の威力は大きいものがあるが、チームの総合力が問われる箱根だと、そのインパクトも薄められる。
実は、留学生がいるチームが優勝したのは1992年、94年、95年の山梨学院大学しかなく、21世紀に入ってからもっとも優勝に近づいたのは、2021年に10区のゴール目前までリードを保っていた創価大学である。
つまりは、留学生は優勝に絡むファクターにはなりづらくなっており、全体を見渡してみると、基本的には予選会突破、あるいはシード権獲得のための位置づけになっている学校が多い。