両国国技館のリングで流した涙のワケ

2023年7月23日、両国国技館大会でクリス・ブルックスが火野裕士を破り、初めてKO-D無差別級王座のベルトを巻いた。クリスが最初の挑戦者に指名したのは、元DDT所属で現在フリーの入江茂弘。大会の最後、リングに集まった選手たちの中で、ひとり号泣していたのが上野だった。なぜあのとき涙したのか?

「クリスはDDTが好きで日本に移り住んで、やっとKO-D無差別級のチャンピオンになった。そんなクリスがようやく辿り着いたDDTのベルトに挑戦するのが、なんで俺じゃないんだと思ったら、泣けてきたんですよね」

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上野はこれまで4度、KO-D無差別級王座に挑戦してきたが、ベルトには手が届かなかった。同王座には、並々ならぬ思いがある。

「DDTって、ヨシヒコ(人形レスラー)がいたり、ハードコアがあったり、つい笑ってしまうような試合があったりするけど、『DDTとはなんなのか?』っていうのは、やっぱりKO-D無差別にあるんですよ。それは歴史的にもそうだし、ファンの思いも無差別にある。歴史の重さを背負い、僕がDDTを体現したいという気持ちは強いです」