「なりたい自分」を視覚化して行動を起こそう

私は過去30年以上にわたり、大谷翔平選手はもちろん、イチローさんやタイガー・ウッズといった一流のアスリートの思考・行動パターンを分析してきました。私がこの本で強調したいのは、大谷選手の思考・行動パターンを自らの人生に適用すれば、誰でもその道の一角の人物になれるという事実です。
スポーツ心理学において、「視覚化」ほど夢をかなえてくれる要素は見当たりません。もしもあなたが自らの潜在能力を発揮したかったら、「視覚化」を駆使することは必須です。しかし、残念ながら、このパワーを信じて「視覚化」を活用している人はそれほど多くありません。

つまり、「視覚化」はスポーツ界のみならず、ビジネス界においても成功者たちが活用している強力なツールなのです。

「視覚化」とは、自分の未来の理想像をできるだけリアルに描くスキルのこと。脳という臓器は、言語よりも非言語の処理を圧倒的に得意とします。ですから、言葉で考えるよりも視覚でイメージするほうが、脳が実現しやすいのです。大谷選手はこう語っています。
  
「知らないところでやるときはワクワクしますね。プロ野球の世界に入るときもそうでした。もっともっと自分よりすごい選手がいるんだろうなと思って、ワクワクしたのを覚えています。(中略)僕はどちらかと言うと、高過ぎるところを想像する性格。自分のイメージを高い場所へ持っていくところがあります。だから、自分の知らないことに向かうときって、ワクワクしてしまうんでしょうね」(『道ひらく、海わたる 大谷翔平の素顔』扶桑社)


大谷選手は小さい頃から繰り返し「メジャーリーガーになって投打で大活躍しているシーン」を頭の中で描いていたから、その夢が実現したのです。私はこの作業を「未来の自分の映画を見る作業」と呼んでいます。
夢を見るだけで描いた自分になれるほどこの世の中は甘くありません。

大切なのは夢を実現した未来の自分像を頻繁に描きながら、それを実現するための行動を起こし、さらに習慣化させることです。

日本人は「勤勉」とか「努力」といった言葉が大好きです。しかし、いくら必死に頑張ったとしても、脳内に「目標」を鮮明に描くことができなければ、たとえ才能があったとしても、夢をかなえることなど、ほとんど不可能です。
大谷選手は成功を手に入れるためのお手本を私たちに示してくれています。その秘訣を理解して行動を起こせば誰でも一角の人物になれるのです。

大谷翔平選手に学ぶ目標設定のしかた「小さい夢や習慣が大きな夢を実現させる」という当たり前のことを継続する力_3